孤立を恐れず信念で共感集める

東日本大震災から、6年が過ぎた。JR仙台駅から東北東へ50キロ余り。車で三陸自動車道を進むと、石巻市の街に入る前に、高さ106メートルの煙突から水蒸気の白煙が上がるのがみえる。日本製紙石巻工場だ。その白煙は、2011年3月11日以来5カ月間、たなびく日はなかった。

日本製紙会長 芳賀義雄

地震発生時、工場には従業員や協力会社の計1306人がいた。約1時間後に大津波が襲ったが、その前に避難誘導にあたった5人以外は、北東の標高60メートルほどの日和山へ逃げた。逃げ遅れた5人も、タンクなどの梯子に上って、無事だった。だが、非番で海岸近くなどにいた従業員や協力会社の人たちが、亡くなった。