小学校から英語に接した生徒は楽しさを経験
【三宅】いよいよ小学校での英語がスタートすると、授業時間数は70時間、週2コマ相当となります。しかし、現実には他教科もあり時間割は目いっぱいです。15分間のモジュール授業や夏休みなどにまとめて行うことなども示唆されました。そうした状況下で、学校によって取り組みも異なってしまい、評価にバラツキが出る懸念はないのでしょうか。
【吉田】評価基準さえきちんとしてれば、それほど問題はないと思います。ただ、70時間をどう使うかによって、到達できる目標のレベルが違ってくる可能性は十分あります。だから、やはり問題となるのは、もし、短時間学習を入れた場合に、正規の45分授業と、うまく連動した形にできないと、あまり効果的ではありません。
先ほど三宅社長がおっしゃった熊本県のような先行実施のところでは、どんな教科書になるのか、早めに情報が必要です。文科省でも準国定教科書のような形で作っていくわけですが、それはモジュール学習を最初から前提としたものではありません。あくまでも週2回を前提としたものです。とはいえ、工夫すれば、短時間授業にも使えるということはこの秋に提示されるでしょう。
【三宅】小学校の英語導入については、1986年の答申から、最初は「総合的学習の時間」の活用、やがて5、6年生の外国語活動必修化を経て、ようやく30年以上を経て教科化までいたりました。この英語教育改革は絶対に成功させないといけないと思うのですが、先生は何をもって成功だと考えられますか。
【吉田】いくつか視点があります。これまでの日本人のいろんなデータを見ていると、英語とか外国語に自信がない子どもが多いのです。だから僕は、自信をもって積極的に海外に出て行ける子がどれだけ育つかだと考えています。
英語力そのものは、がんばれば一定のレベルまでは達するわけで、完璧である必要はありません。単純に英語力をつけるという問題ではなく、積極性がどうやって生まれてくるか、英語を使っていろんなことをやりたいという気持ちをどうやって育成するかだと思います。
【三宅】イーオンの小学生向け教科書も昨年大きく変えまして、従来の教え込むということから子どもたちに気づかせる、子どもたちが積極的に発表するということを目標としました。その効果でしょうか、すごく生き生きと授業を受けているのです。少しぐらいの間違えを恐れずに発言する。楽しく自分の意見を最後までプレゼンできるようになりました。
【吉田】現在でも、小学校から英語を学んでいる子どもは、高校生になっても「外国のことをもっと知りたい」という生徒が多いですよね。そういうアンケート結果は、もうずいぶん前から出ています。理由を調べてみると、小学校時代から英語に接した子は楽しさを経験しています。そんな子どもを1人でも多く育てるべきです。
【三宅】本日はありがとうございました。