本屋の棚に並んでいる英語のテキストはどれも無味乾燥でつまらない……。そんな不満を持っている人におすすめなのが、自分が好きな小説やマンガの英語版。それなら面白くて勉強が一気にはかどるだろう。
斜め読みでもOKリズミカルに
「ワクワクしながら本を読んでいるうちに、英語がマスターできた」――。そんな勉強法があるのなら、試してみたいと誰もが思うはず。ましてやその“本”が自分の大好きな「小説」や「マンガ」であれば、がぜん興味が湧いてはこないだろうか。
まず、好きな小説で英語を学んだのが、研修講師の鈴木マグラクレン美保さんで、愛読書は世界的なベストセラー、『アルケミスト』(パウロ・コエーリョ著)だった。
「『All things are one(すべてのものは一つ)』など、人生に対する哲学的な表現がたくさん出てきます。そんな自分が感動するフレーズに出合ったら、それを紙に書いて、壁に貼っていました。自分が好きな言葉なので、覚えも早くなります」
実は、鈴木さんはオーストラリアでのワーキングホリデーの経験があったものの、思ったほど英語が上達しなかった。帰国後に受けたTOEICのスコアは745点で、海外赴任者向けの研修の仕事に就いてから、英語の勉強と真剣に向き合うようになったという。
「そうしたなか、以前に翻訳版を読んで感動した『アルケミスト』を思い出して、英語版を購入しました。平易で読みやすい単語や熟語が多いことが、この小説の特徴です。また、同じ表現が繰り返し出てきて、自然と頭に入ってきます。あるページには『as if~(まるで~のように)』が3カ所、『know how to~(~するにはどうすればいいのか知っている)』が2カ所も出てきて、すぐに重要な表現なのだと理解できます」
鈴木さんの場合、知らない単語が出てきても、その都度辞書で調べることはしない。日本語の小説を読むときも、辞書など引かず、それこそ“斜め読み”でも大意は掴める。楽しくリズミカルにが、鈴木さん流勉強法のポイントの一つなのだ。
視覚から情報が入ったほうが覚えやすいという人もいれば、聴覚のほうが記憶に残って情景が浮かびやすい人もいる。もしも後者なら、オーディオブックの併読ならぬ“併聴”もおすすめと鈴木さんはいう。
「その際に大切なのは、シャドーイングをすることです。これをやると英語特有の口の筋肉も鍛えられます。また、SNSで同好の士を探し、共通する愛読書の内容について英語を使って盛り上がれば、アウトプットのトレーニングにもなります」
そうしていくことで鈴木さんのTOEICのスコアは、なんと925点に伸びたそうだ。