全127話読めば単語は12万語以上

「英語に対するコンプレックスを克服しようと、大手の生保勤務時代にありとあらゆることに挑戦し、挫折を繰り返してきました」と、苦い経験を語るのは評論家の中村一也さんだ。しかし、いまでは中村さんは、『僕が無料の英語マンガで楽にTOEIC900点を取って、映画の英語を字幕なしでリスニングできるワケ』の著者でもある。

「2年前の27歳のとき、30万円を払って英会話学校の門を叩きました。初回にネーティブの講師と会話をして自分のレベルを試されるのですが、まったく話せずじまい。それがトラウマとなって、その後は一度も通うことなく、お金をドブに捨ててしまいました」

映画のDVDも試した。英語の字幕を付けずにリスニングをしたが、聞き取れないのか、知らない単語なのかさえわからない。そこで字幕付きでも挑戦したものの、効果音だけで会話がないシーンも多く、勉強としては効率的ではなかった。

次に、シャーロック・ホームズをはじめとする推理小説を原書で読んでみた。しかし、出てくる語彙が難しい。読むのに時間がかかり、内容の核心部分に到達できず、途中で放り出してしまう。それならば語彙力を付けようと、単語帳とにらめっこしたが、苦痛で仕方がなかった。

そして、そんな試行錯誤を1年間繰り返した末に出合ったのが、タブレットを使って無料で閲覧できるマンガアプリにあった、累計1000万部の大ヒットマンガ『ブラックジャックによろしく』(佐藤秀峰作)の英語版だった。

『Give My Regards to Black Jack』SHUHO SATO/Manga on Web(http://mangaonweb.com/satoshuho/download/)無料

「もともと日本人向けに書かれたマンガなので、物語の背景を理解しやすく、スムーズに感情移入できます。しかも内容が感動的で濃いため、読んでいくうちにストーリーにのめり込み始めます。ふと我に返ると、英語でエンターテインメントを楽しむ自分がいました」

いまでも中村さんは、ガンにかかった母親が子どもに「お母さんね……」「もうすぐ死ぬの……」「約束して……」「強く生きて」という第76・77話のクライマックスのシーンになると、電車のなかで人目もはばからずに泣いてしまうそうだ。