「健康」と「経済」が対立する構図

各紙の記事は、事実の一部を伝えている。しかし、前出の議員は「厚労省の都合のいい事実だけしか伝えていない」と怒る。

「2月9日、15日の2回、厚労部会は開かれた。しかし、厚労省は最初から結論ありきのやり方だった。タタキ台というより、われわれ部会の意見を聞き入れようとせずに、アリバイ的に部会を通過させ、法案提出に持ち込もうとした。もちろん、受動喫煙対策は大切だが、さまざまな事業者もいるなかで、分煙なども考慮に入れて取り組む方向の声も多かった。それらの意見を塩崎恭久厚労相にも伝えてほしいと伝えた」

その2月中旬以降、自民党厚労部会は開かれていない。膠着状態に業を煮やした厚労省が、メディアに火を点けた図式が浮かび上がってきたというのである。

地方選出の議員からすれば、地元の経済がさらに沈んでしまう危機感の表れにほかならない。これまでも受動喫煙対策を巡っては、「健康」と「経済」が対立する構図となってきた。いったい受動喫煙対策はどうすればいいのか。世論調査でも大きく意見が分かれている。

朝日新聞は3月11、12日の世論調査で「厚生労働省は受動喫煙対策を強化するため、法律の改正を検討しています。飲食店では、小さなバーやスナックを除き、レストランや居酒屋などの店内を原則禁煙とする案を示しています。こうした規制強化の案に賛成ですか。反対ですか」との問いに、賛成64%、反対25%だった。

一方、3月18、19日の産経新聞社とFNNの合同世論調査では「政府は受動喫煙対策の強化を進める方針だ。飲食店を原則禁煙にする案と、『喫煙、分煙、禁煙』それぞれの表示を義務付け、選べる案ではどちらの案がよいか」との問いに、原則禁煙とする案が37.6%、選べる案が60.3%だった。

つまり、質問によって大きく違うことがわかる。規制強化にイエスかノーかと問えば、イエスが多い。一方で、一律の規制強化か、選択式の分煙かと問えば、選択式が倍近く支持を得るのである。

国民の健康は、当然ながら大切だ。しかし、多様性のなかで、喫煙者と非喫煙者が共存できる方法の模索も真剣に考えるべきではないか。自民党厚労部会には、医療の専門家もいる。決して地元経済だけを優先しての幼稚な議論ではない。部会の議員は「厚労省はつまらない策を仕掛けている時ではない。いま一番求められているのは、歩み寄る姿勢だ」と語るが、着地点を見つけるにはまだまだ時間がかかりそうだ。