「原則禁煙」健康増進法改正法案の行方

新年度がスタートし、居酒屋ではサラリーマンたちが歓迎会や懇親会を開く機会が増えている。そこで気になるのが、たばこの煙だ。

「お客様の利用の仕方によって、選択できるよう工夫しています。多様なニーズに対応できることが大切だと思っています」

東京・赤坂「三河屋」の店主で、赤坂青山料理飲食業組合連合会の堀込一之会長はそう語る。

受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案の行方に、飲食業関係者が気を揉んでいる。当初、改正案では飲食店すべてを原則禁煙(喫煙専用室は設置可)とする方針だった。その後、飲食業界の反発などを受けて、小規模なバーやスナックなどに限り喫煙を容認したものの、居酒屋、焼鳥屋、おでん屋は一律的に原則禁煙となっている。

改正案が今国会に提出されるのかどうか。調整は大詰めを迎えているが、永田町ではこんな憤った声が聞こえてきた。

「厚労省記者クラブの記者は、役人の言い分を鵜呑みにして記事を書いている。まったく情けない」(自民党厚労部会の中堅衆院議員)

4月に入り、厚労省側の言い分を代弁するような記事が立て続けに見られた。たとえば、「厚労相 自民に異例注文『部会開いて』受動喫煙対策巡り」(毎日新聞 4月12日付)、「自民、厚労省案認めず 受動喫煙対策 後退必至」(毎日新聞 4月14日付)、「受動喫煙対策 進まぬ議論 法案 今国会提出に『黄信号』 妥協許さぬ厚労相 自民反対派が抵抗」(朝日新聞 4月21日付)といった具合だ。

要は、厚労省は改正案を提出したいのだが、自民党内での抵抗にあって議論が進まない。このままでは受動喫煙対策が遅れ、2020年の東京五輪に間に合わない、という論調の記事なのだ。