女性ケアマネの「世話焼きおばちゃんキャラ」の功罪
こうした女性同士のコミュニケーションの問題以外でも、男性ケアマネが必要とされるケースはあると男性ケアマネのIさんは言います。
「セクハラ、暴言、暴力といった問題のあるケースです。利用者さん本人からだけでなく、家族から女性ケアマネがそうした被害を受けることもある。ケアマネは1人で家の中に入っていくわけですから、身の危険を感じることも起こり得るんです。そういう報告があった時は事業所で協議して男性ケアマネに交代するようにしています」
では、ケアプランの作成内容に、ケアマネの男女の違いは出るのでしょうか。
「男性ケアマネはヘルパー経験のない人が多いですし、調理や掃除といった家事に疎い部分もある。そのため、ヘルパーさんによる生活援助のサービスに目配りが行き届かない面はあるかもしれません」(Iさん)
一方、女性ケアマネならではの特徴はあるのでしょうか。
「ベテランの女性ケアマネには“世話焼きおばちゃん”的な人がいます。ご近所や親戚などにも、そういう人がいますよね。バランスの取れた考えのもとでの世話焼きなら、とても良いのですが、なかには勝手に思い込んで独りよがりの世話焼きをする人がいます。そんなタイプのケアマネが担当になったら、利用者さんの事情に沿ったサービスは受けられない可能性があります」(Iさん)
的外れの選手起用をしてチームの成績を上げられない監督がいるように、利用者の希望や事情をくみとる努力をあまりせず、満足のいく介護プランを作成してくれなかったり、サービスを提供してくれなかったりするケアマネもいるというのです。
「そうした事情をケアマネが所属する事業所に伝えれば、担当を変えてもらうことは可能です。ただ、ケアマネの立場から言わせてもらえば、いきなりそうされることはショックなので、不満があれば担当ケアマネに直接話してほしいですね。その話し合いから、事態が改善されることもありますから」(Iさん)
より良い介護を行なうために重要なのは利用者とケアマネージャーの信頼関係でしょう。そしてその信頼は会話を重ね、互いを理解することで生まれます。女性と男性では対応などに微妙な違いがあることは確かですが、それよりも重視すべきなのはコミュニケーションが密に取れる相性かもしれません。