買うべきか否か「デシジョン・ツリー」で決めよう
さて現状を把握したら、「それが本当に必要な支出なのか?」を常に意識して、お金を賢く使う習慣も身につけたい。
モノを買ったり、サービスを受けたりする場合、あとで後悔しないようにするには、それが必要なもの(ニーズneeds)なのか欲しいもの(ウォンツwants)なのかを分けて考えるのがポイントである。
前者は、衣食住など、日常生活に欠かせないもの、生きている上で必要なもの。後者は、その人の欲望や欲求、生活をさらに快適に充実させてくれるものだ。
そして、世の中の様々な商品やサービスのマーケティング戦略のほとんどは、後者に訴えるように作られている。たとえば、洋服は生活する上で欠かせないもの(=ニーズ)だが、ほとんどの人は、手持ちの洋服ですでに十分過ぎるくらいだろう。
それなのに、また買ってしまうのは、その素材が上質なものだったり、流行のスタイルだったりするもの(=ウォンツ)だからだ。
とはいえ、モノやサービスに対する価値観は人それぞれで、両者の区別は人や状況によって異なる。要は、自分にとって、本当に必要かどうかの判断や見極めが重要なのだ。
このように生活の中でお金の使い方を考え、実行していく(=意思決定の)過程を「意思決定のプロセス」という(表2参照)
おそらく、私たちは何気なく、このような流れで意思決定を行っているのではないだろうか?
そして、意思決定を行う方法の一つが「デシジョン・ツリー(意思決定の木)」である。
これは、ある決定をするにあたって、起こりうるすべての選択肢や可能性を列挙し、その上で最適な選択肢を決定しようというものである。
表2では、「新しいパソコンが欲しい」という解決すべき問題に対して、4つの選択肢を挙げ、それぞれのメリット・デメリットを考えてみる。その上で決定することによって「合理的な意思決定」が得られるというわけだ。
そして何かを行動・消費すれば、支払った代償・お金の他に、それを選んだことによって放棄したり得られなかった部分(機会費用・損失)もある。
例えば、子どもの教育資金であれば、昨今の晩婚化や初産の年齢を考慮すると、教育費にばかり注力してしまうと、自分たちの老後資金を脅かしかねないということだ。真に合理的な意思決定とは、目先の利益だけではなく、選ばなかった部分の価値も含めた費用と選んだ方の効用を比較してはじめて行えるものだということを覚えておきたい。