遠のくメルセデス・ベンツの背中
そんな中で発表した今回の「ティグアン」は次世代プラットフォーム「MQB」を採用したSUVの第一弾で、「SUVの新時代を開く」とシェア社長が豪語するほど。その最大の特徴はコネクティッドカーで、車の中にいながらインターネットなどさまざまなオンラインサービスにアクセスできるということだ。発表会でも、その一端を紹介して見せた。
ただ価格はコンフォートライン360万円、ハイライン433万円、R-ライン463万円となっており、大衆車イメージが強いVW車にしては高い。メルセデス・ベンツの「GLA」とあまり変わらない価格なのだ。
これでは、“ベンツ神話”の強い日本市場で販売台数を大きく伸ばすのは難しいかもしれない。価格がそれほど変わらないのなら、ユーザーはどうしても高級ブランドイメージが強いメルセデス・ベンツを選んでしまいがちになるからだ。こうした価格面についても、VWが苦戦している理由としてあげられる。
「2017年は『ティグアン』をはじめ、VWの最も小さいモデルである『アップ!』を5月に、『ゴルフ』の電気自動車を今夏に日本投入する予定です。同時に、新たなお客さまを獲得するため、ショールームの外に出かける活動も強化していきます。こうした継続した活動で、2020年までに顧客満足度で輸入車市場をリードするブランドになろうとしています」とシェア社長は説明する。
果たしてシェア社長が描くシナリオ通りに進むのか。メルセデス・ベンツは2017年に日本市場で7万台超えの販売を目指すという。その差がさらに広がる可能性があるわけだ。世界ナンバーワンのVWの逆襲はあるのか、日本市場の動向にも注目だ。