人口比では欧米と大差なしの実態

プロ・オーケストラがベースとしている都市を見ると、人口と同様に東京都には9つ、大阪府には4つ、愛知県には2つと大都市に集中しているのがわかる。これを人口比で見ると東京都は約145万人につき1つのプロ・オーケストラが、大阪府は220万人につき1つ、愛知県は250万人につき1つの割合となる。また、北海道のように538万人の人口がありながら、札幌交響楽団1つしかない地域もある。

ちなみに、海外の主要都市と比較すると、米国ニューヨーク市は人口約800万人で主要なオーケストラはニューヨークフィルしかない。1つのオーケストラに対し人口が多い(観客が多い)ことが、経営基盤を安定させているのかといえば、そうではない。英国ロンドン市も同じく約800万人だが、オーケストラは5つあり、人口割合で見れば約160万人につき1つとなっており、東京都などと大差はない。

どうやら、日本のプロ・オーケストラの経営基盤が脆弱なのは、欧米のオーケストラが地域社会と深く結び付き、都市のシンボル的な存在になっているのに対して、日本の場合には地域社会との結び付きが弱いのも、ひとつの要因のようだ。言われてみれば、日本人の多くがクラシック音楽に親しむのは、年末の風物詩ともなったベートーヴェンの「第九」公演ぐらいしか思いつかない。

しかし、近年ではオーケストラが地方自治体とフランチャイズ契約を結ぶなど連携することで、その地域のホールで定期演奏会を行うケースが増加してきている。こうした形で、プロ・オーケストラが地域に馴染み、地域文化の一翼を担うようになっていくことは、非常に望ましいことだ。

プロ・オーケストラの存在は、文化水準を計る尺度のひとつでもある。そのためにも、プロ・オーケストラの経営が安定し、素晴らしい演奏が行えるような環境作りは重要な問題だろう。