農家が幸せになるなら僕は嫌われてもいい

僕は講演でも言っているのですが、「団体栄えて農業滅びる」「団体栄えて農家が泣く」ということは絶対許されない。

メディアのみなさんは、農林族の人の強い抵抗にあったと思っているかもしれませんが、そうではありません。ずっと守ってくれたのは農林族の先生方です。折に触れて「団体の言葉を聞きすぎたらいけないよ」「すべての農家を守ろうとしてすべての農家を守れなかった」という農林族の先生の言葉が励みになっていました。

2016年11月25日、自民党の農林関係合同会議であいさつをする小泉農林部会長。「農業の現場が改革の旗手になる」。(時事通信フォト=写真)

僕は、政治家と団体の関係というのは「農家のみなさんに喜んでいただけるなら、団体に嫌われてもいい」ということに尽きます。

TPP交渉に即参加しろと僕が言い続けたことで、神奈川県の(全農の)中央会から選挙のときに推薦してもらえなくなった。しかし、地元の単協会は僕のことを独自に応援してくれたんです。選挙演説会も農協でやってもらい、現場のみなさんに「なんで僕はTPP交渉に参加するべきだと思っているか」ということを組合員に伝えてほしいと依頼したら、本当にそれが実現したのです。組合員のみなさんは「自分たちが反対していることでもちゃんと言ってくれてよかった」と言ってくれて、応援をしてくれる。そして、その応援があって今の僕がいる。それは、業界団体との関係全般にも言えることではないでしょうか。とてもシンプルな考え方です。

たとえば、商工関係で言えば、商工団体と関係がうまくいっている政治家がいたとしても、それで町工場の人が泣いていては意味がない。農業でも同じで、「団体は喜ぶけど、農家の人は喜ばない」ようなことをやってはいけないんです。

そういった中でのせめぎあい、バランス感覚は、これからもずっと悩んでいかねばならないでしょうね。