2016年の東大合格者数トップは35年連続で開成高校。さらにトップ10は23年連続で中高一貫校だけ。だが、11位に都立日比谷高校が食い込んでいる。さらに2016年は初めて「推薦入試」が実施された。その影響はあったのか――。

東京大学が初の推薦入試、結果は?

2016年に東京大は後期試験を廃止し、初めて推薦入試を実施した。募集人員は100人程度で志願者は173人、合格者は77人だった。募集は学部単位で、一般入試のような文科I類、II類などという枠ではない。法学部、医学部など学部別の募集だ。定員割れのように見えるが、志願者数から考えれば定員通りに合格者数を出すこともできたはずだ。合格基準に達しない受験生は不合格にしたということだ。不足分は一般入試の募集人員に加算された。科学オリンピックのメダリスト、高校生の時に書いた論文が賞を受賞するなど、出願のハードルは高かった。さらにセンター試験で8割が必要だ。「各学部が満足のいく選抜で、推薦入試は成功だった」と東京大では分析している。

東京大が推薦入試実施に踏み切った一因は、関東ローカル化の進行にある。16年の首都圏からの合格者が全体に占める割合は55.2%。10年前には44.8%だから、大きく関東ローカル化が進んでいることが分かる。ところが、推薦入試では東京大の狙い通り55.8%が関東地方外からの合格者だった。

もうひとつの狙いであった女子の合格者増加も、推薦入試では全合格者に占める女子の割合は37.7%で、一般入試はというと18.4%。地方、女子の合格者増加は、推薦入試では達成できたことになり、東大が成功というのもうなずけよう。

推薦入試実施の影響を受けたのが、東大ランキング上位校だ。合格者数トップは35年連続で開成。170人が合格したが、15年に比べて15人減となった。推薦入試には各校男女1人ずつしか出願できない。男子校の開成では1人となるが、推薦入試合格者はゼロだった。15年は後期試験でトップの8人が合格していたが、後期試験が廃止されたため、その分が減少したことも影響したと見られる。一般入試の合格者内訳では文I、文II、理I、理IIの4つの科類でトップだった。

2位の筑波大付駒場の合格者は102人で、そのうち現役合格者は82人にものぼる。合格者の8割以上が現役という高率だ。3位は麻布と灘の94人合格。麻布は文IIIに17人、灘は理IIIに20人で、いずれも合格者数トップだった。

5位は渋谷教育学園幕張で、15年に比べて20人増え、過去最高の76人合格となった。もっとも合格者数が増えた学校でもある。上位には男女別学校が多い中、共学校トップだ。推薦入試にもトップの2人が合格している。推薦に2人合格した学校は5校あり、他には8位の東京学芸大附、11位の日比谷、41位の札幌南、表外となる130位の大阪教育大附天王寺。大阪教育大附天王寺の東京大合格者は全部で4人で、半数が推薦での合格ということになる。