また、大きめのアピールには、もう一つの意味がある。それは「言った手前、やらなければならない」状態に自らを追い込むということである。

<strong>プレゼン格差<3></strong>成功した仕事の手柄について「自らアピール」vs「アピールしない」
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プレゼン格差成功した仕事の手柄について「自らアピール」vs「アピールしない」

例えば商談の場で、「私どもの教材開発力はトヨタ自動車さんで高い評価を受けています。必ず期待にお応えしますので、ぜひ御社でもご検討ください」と話をしたとしよう。その後、「有言実行」を貫くべく死ぬ気で努力をするのは言うまでもない。

年収2000万円を稼ぎ出す人は実績を大きめに言い、自分を追い込んで有言実行し、結果として大きな成果を出してきたに違いない。

そして仕事が成功したときには、「自分ではっきり」(24.0%)と手柄を社内にアピールしている。これに対して、「自分ではっきり」アピールする500万円台の人は17.7%にとどまる(プレゼン格差3)。

<strong>プレゼン格差<4></strong>社内で上司と話すとき上着を着用する人の割合は
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プレゼン格差社内で上司と話すとき上着を着用する人の割合は

「チームメンバーを褒め」て遠回しに自身の手柄を伝える人は2000万円稼ぐ人、500万円台の人ともに最も多い。いやみのない自己アピール方法を研究しておくのも手かもしれない。

『人は見た目が9割』という本がベストセラーになったが、上司や目上の人と話すとき、上着を「必ず着用」と「着用することが多い」を含めた着用派は、2000万円稼ぐ人が約7割で、500万円台の人は5割程度(プレゼン格差4)。

わが社でも、お客様を訪問する際は夏場でもネクタイと上着の着用を義務づけている。そういった外見への気遣いが、信頼感や安心感という目に見えない形につながっていくと考えるからだ。

「仕事ができれば見た目は関係ない」という人もいるだろうが、仕事ができるかどうかは、実際に仕事をしてみないとわからない。しかし、仕事を依頼するかどうかは、仕事ぶりを見る前に決める。つまり、相手は能力や実績に対してではなく「仕事をきっちりしてくれるだろう」という期待値で判断している。

身なりや態度は、期待値を決める要素の一つだ。だまされたと思って、一度「見た目」を正してみるといい。きっと周囲からの信頼のされ方に違いが出てくるはずだ。

<strong>プレゼン格差<5></strong>社内で提案する際、重視するのは「コンセプト」vs「データ」
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プレゼン格差社内で提案する際、重視するのは「コンセプト」vs「データ」

身なりを正し、いざ提案をするときに、何を強調して話すか。「データ」と答えたのが2000万円稼ぐ人、500万円台の人、ともに過半数を占めた。逆に2000万円を稼ぐ人と、500万円台の人で10ポイントの差が開いたのが「コンセプト」だ(プレゼン格差5)。

実は2000万円を稼ぐ人の中でも、「コンセプト」と答えた割合が高いのは50代以上の人であった。これらの人は、実績豊富な役職者なので、コンセプトを中心に話しても聞いてもらえる。一方、500万円台の人は役職がないため、データで武装しないと聞く耳を持ってもらえない。そんな現実が浮かび上がってくるのではなかろうか。

ここで特筆すべきは、50代以上で2000万円を稼ぎ出す人も多くはデータやコンセプトで話をしているということ。多くの成功体験を持っているはずなのに、過去の成功体験をもとにして話さない点は見習うべきだ。