代表権を外された創業者は怒っている
――違法行為とは。
今回の検察捜査で、いくつかの明白な違法行為が明らかになっています。韓国ロッテの中核的な企業の一つ、ロッテケミカルでは、ありもしない設備の減価償却費を主張して、国に対して裁判まで起こして、国に払った税金290億ウォンを取り戻していました。
弟が韓国ロッテに来て最初に入ったのが湖南石油、今のロッテケミカルで、今でも代表取締役をやっている。国に訴訟をした当時の社長は逮捕されましたが、同じく当時から代表取締役に就いていた弟は、自分は聞いていないといって免れた。また、グループの建設会社では300億ウォン(約28.8億円)もの裏金をつくっていたことが露見しました。ところが、逮捕された社長は社員の飲食費に使ったと供述していると伝えられています。常識的に考えて、そんな金額を飲食費で使い切れるわけがないにも関わらず、そうした不誠実な言い訳をしています。また、スーパー部門では、安全性のテストもしないで開発・販売したPBの殺菌剤で沢山の消費者の方々に死傷事故を起こしてしまった。これらは最近起きたいくつかの例であって、韓国ロッテグループ全体にそうした風潮が広がっている。
このようなことは、曲がったことの嫌いな父が作り上げてきた本来のロッテの経営ではありえない。野放しにしてはいけない状況にあります。
――こうした状況の中で創業者や役員は何も言わないのですか。
創業者は当然怒っています。しかし代表権はすべて外され、取締役として残っているのは、日本ロッテホールディングスぐらいです。しかも弟は、父が認知症だといって父の妹に成年後見人の訴訟を昨年12月に起こさせたのです。それで、もともと極端に病院嫌いだった父が病院での検査を受けるのを嫌がったので、8月には検査を受けることなく限定後見という認定をされてしまい、父は控訴しています。従って、まだその効力は発生していません。
役員に関しては、日本のロッテホールディングスを含めて全く何も言いません。むしろ、弟の経営体制の継続を承認したと発表しました。そのような発表をした矢先にも、今、韓国全体を揺るがしている崔順実氏にかかわる疑惑で、同氏の関連する財団に、免税店の免許更新に失敗し追加免許を得ようと工作し、また検察特捜部の捜査をもみ消そうと2回にわたって資金を提供していたとして大きな騒ぎになっています。この状況をロッテホールディングスの現経営陣や取締役会は一体どのように説明するのか。本当に憂慮すべき状況です。