CASE3●明治
課題)前例のない企画を社内で通すには?

「我々にとって大きな刺激となりました」

IDEOとのプロジェクトについて明治の宇都宮洋之氏は話す。同社の佐藤政宏氏も「今まではコンセプト自体が曖昧だった」と言葉を重ねる。

14年秋、明治は「ザ・チョコレート」という高級嗜好の板チョコを発売したが、期待していたほどの市場からの反応はなかった。それから半年後、IDEOの門戸を叩く。

「高級嗜好のチョコレートを日本で定着させるためにはどうすればいいかをIDEOとディスカッションしました。今までは、新商品を出し続けることがお客様の関心を引く手段になっていた。それでは限界がある。『モノ』から『コト』に軸足を変える必要性に気づかされたのです」

そう語るのは同社の山下舞子氏。ビジョンを再設定することから、「ザ・チョコレート」のリニューアルプロジェクトははじまった。

(左)菓子商品開発部専任課長 スペシャリティチョコレート担当 山下舞子氏と(中央)宇都宮洋之氏(右)菓子マーケティング部専任課長 スペシャリティチョコレート担当 佐藤政宏氏

「この商品を起点として、日本のチョコレート文化を進化させていきたいと思った。もっと言えば、チョコレートが人の癒やしや健康、喜びとなるものにしたかった。会社だから売り上げ目標は達成するにしても、その先の将来を考えていくことができました」(宇都宮氏)

これまでは情報発信の仕方も上手くいってなかったという。

「パッケージ一つとっても、商品の魅力をすべて伝えようと、情報量を詰め込みすぎていました」(山下氏)

ビジョンや情報発信など多くの気づきを得た。しかし得たものは、それだけではない。

「パッケージリニューアルに難色を示す役員に、『あなたはターゲットではありませんから』と佐藤が言ったときはびっくりしました(笑)」(宇都宮氏)

「企画を社内で通すために、市場や顧客の価値観の変化を示す資料をつくりました。そこに客観的なデータを盛り込むとしても、これまでは消費者調査が精いっぱい。しかし今回は、IDEOと一緒にサンフランシスコのチョコレート市場を見にいったり、カカオやチョコレートのエキスパートに意見を聞きにいったりして、そこで拾った声やデータを資料に盛り込みました」(佐藤氏)

(河西 遼=撮影)
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