公明党がどういうスタンスを取るかに注目

【塩田】公明党は「加憲」を唱えています。公明党の憲法問題への対応については。

【武正】集団的自衛権の憲法解釈変更の閣議決定や安保法案への対応を見ていると、いかがなものかと受け止めています。参院選を終えて1年半ぶりに始まる憲法審査会で、公明党がどういうふうなスタンスを取るのか、それは注目です。

『安倍晋三の憲法戦争』塩田 潮(著)・プレジデント社刊

【塩田】自民党の谷垣禎一前幹事長は私のインタビューで、「憲法改正は野党第一党と一緒になってやらなければ」と口にしていました。そういう意見も少なくありません。

【武正】衆参で3分の2以上というのは、これまでなかった議席状況ですが、改憲勢力といっても、3分の2がまとまって発議要件をクリアするのは難しいだろう、まして国民投票があるというのが谷垣前幹事長の発言の真意だと思うんです。自民党も16年間、そういう認識で、国会での憲法の議論をやってきたんだと思います。07年に与野党が合意形成直前までいったのが、安倍首相の発言で議論のテーブルが引っ繰り返され、それで7年間、時間がかかってしまった。

自民党から最近も、憲法改正推進本部の責任者が首相官邸に行って安倍首相に再三、「国会で与野党で丁寧に議論しているから、口出ししないでくれ」と申し入れているのに、首相は水を向けられると、踏み込んだ発言をしてしまうところが国会で見受けられます。

武正公一(たけまさ・こういち)
民進党憲法調査会事務局長・衆議院憲法審査会会長代理
1961(昭和36)年3月、静岡県清水市(静岡市清水区)生まれ。幼少期に埼玉県に転居し、埼玉県立浦和高校から慶応義塾大学法学部政治学科に進む。卒業後、松下政経塾に。95年に埼玉県議に当選。2期目の途中の2000年6月の総選挙に民主党公認で出馬して初当選(以後、埼玉1区と比例北関東ブロックで当選6回)。09年から鳩山由紀夫内閣と菅直人内閣で外務副大臣、12年に野田内閣で財務副大臣。民主党時代に党憲法調査会副会長を務める。
(尾崎三朗=撮影)
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