理想と現実の溝を埋めたくなる。それが、人間の性。

次に、毎日23時ぐらいまで社内の突発的な業務に振り回されて疲労困憊の営業担当・Bさん(29歳・独身)のケースを見てみましょう。下の1日の時間割をよくチェックすると、時間の使い方だけでなく、もっと根本的な働き方の変革が必要であることがわかりました。

営業課 田中さんの時間簿

長年「なんとなく忙しい」と日常生活をほとんど振り返ることなく働き続けるBさんですが、「見える化」をすることで改善ポイントがくっきりと見えてきたのです。

【a】ギリギリ(本日締め切り)の仕事に振り回されている。
【b】リラックスする時間が異常に長い。寝不足によるエネルギー不足が原因。
【c】頭を使う重要な仕事を夜遅くにしていることで余計に時間がかかっている。
【d】印刷トラブルなど日中にやっておけばすぐに解決したことが夜のため解決に時間がかかる。
【e】突発の仕事に振り回され続け、疲れ果てている。

特に目立ったのは長時間残業の悪循環ですが、「見える化」したことであぶりだされた課題点を踏まえ、田中さんは退社時間を19時、出社時間を8時という習慣に変えることを心に決めました。まず、出社・退社時間を改める。そこから徐々に時間割をよりよいものにしようとしたのです。

私たちには「見える化」すると、それを改善せざるを得ない本能に火が付きます。火が付く人を私はたくさん見てきました。軌道修正をして理想と現実のギャップを埋めたくなる。それが、人間の性なのです。

そしてその種火、着火剤となるのが、日々の行動を記録すること。現状の時間割を把握すること。それをタイムラインで整理して「見える化」する。それを眺めているうちに、内なる軌道修正本能に火が付くことを実感できるはずです。なぜなら、改善することで、自分自身で得することがいくつもあるからです。ぜひ、お試しください。

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