まいど、「相場の福の神」ことSBI証券シニアマーケットアナリストの藤本誠之(ふじもと のぶゆき)です。藤本は、現在ほぼ1日に1社のペースで、上場企業の経営者やIR(投資家向け広報)の担当者との個別面談を行っています。延べ年間200社以上と個別面談を行っていると、業績が成長し、安定的に利益を出し、株価が堅調な企業には、様々な要因があることが判ります。その中でも重要な要因に「人材活用術」があります。企業は、そこで働く経営者・役員・従業員が、それぞれの責務を果たすことによって成り立っています。いかに優秀な経営者であったとしても、一人では会社を動かすことできません。そこに集う人材によって、会社は大きく成長していくからです。この連載では、藤本が会った様々な成長企業の経営者から、その企業の概要や今後について聞き、人材活用術について語っていただいた内容をご紹介いたします。

第5回は、日本最大級のEMS(電子機器受託製造サービス)企業のユー・エム・シー エレクトロニクス(6615 東証1部)です。

日本最大級のEMS企業の「ものづくり力」

ユー・エム・シーエレクトロニクスは埼玉県上尾市に本社があります。1968年に創業し、2016年3月に東証1部に新規上場しています。内山茂樹社長に人材活用術を聞きました。
――ビジネスの概要をご説明してください。

当社は、卓越した「ものづくり力」と感動を呼ぶ「海外工場運営」が高く評価され、各国の名だたるトップメーカーを中心に、約300社を超える取引先から、自動車のハイブリッド関連の重要保安部品から、最新鋭のドローンまで、様々な製品の製造を受託している企業です。製造拠点としては、日本・中国・ベトナム・タイのほか、来年の第1四半期にはメキシコが稼働開始予定で、販売拠点としては各製造拠点にプラスしてドイツにあります。

「ユー・エム・シー・エレクトロニクス株式会社」HPより

近年、世界の電機電子業界はパソコンやデジタル家電、スマホに代表されるようにコモディティ化に伴う水平分業化が進み、EMS業界の急拡大を支えてきました。これら製品の普及一巡による需要伸び悩みが予想される一方で、メカ技術をコアとしてきた業界の電子要素技術利用も急速に進展しております。とりわけ、車載や医療分野は、生命を預かる重要保安品を抱えるため高信頼性の確保が必須となるものの、EMS業界にとっての成長分野であると考えております。

当社グループは、こうした高い技術力を要する分野に果敢に挑戦することで、自動車や産業機器業界等とともに成長することが可能と考えており、自ら積み上げた「ものづくり力」の社風・企業文化を水平展開することで規模を拡大してきております。