都知事選惨敗を招いた4人の戦犯

参院選の傷が癒える間もなく都知事選に突入して、民進党は惨敗を喫する。当初、参議院の蓮舫氏が出馬に意欲を示したが、内々の身体検査で舛添要一前都知事と同じような金銭問題を抱えていることが発覚して出馬を見送ったという。その後、宇都宮健児氏や片山善博氏などを渡り歩いて、執行部が最後の最後に知名度だけで担ぎ出したのが鳥越俊太郎氏だった。

都知事選も共闘継続ということで野党統一候補を立てたわけだが、鳥越氏は共産党とじっくり話をしたわけでもないし、どこの政党ともあまり接点がない。あえて言えば共産党がしきりに秋波を送っていたSEALDsを応援していたくらいだが、SEALDsのようないい加減なものを応援するというのはマスコミ的に言えば「(ムーブメントに)乗っかっちゃった人」である。実際、原発反対など筋違いな主義主張を訴えるだけで、都政に関する政策が何もないことがすぐにわかったし、高齢による体調不安も露呈した。揚げ句に女性スキャンダルが発覚するなど無残な姿をさらけ出して、小池百合子氏の圧勝を助ける恰好になった。

民進党内では鳥越氏を担ぐことに異論も多く、党内から候補者を出すべきという声も強かった。東京都選出で、それなりに能力も知名度もある人材は民進党にもいる。「都市型サイレントマジョリティの代弁者」という原点に戻って、「一区現象」を象徴するような人物を候補者に立てれば、東京都のことをもっと雄弁に語れただろうし、いい勝負ができたのではないか。

都知事選惨敗の責は鳥越氏に白羽の矢を立てた新旧執行部、ハッキリ言えば岡田克也氏、野田佳彦氏、安住淳氏、枝野幸男氏の4人にある。しかし、彼らは反省をするどころか、性懲りもなく、党代表選においても知名度抜群ということで蓮舫氏を担ぎ出した。蓮舫氏は政治家としての成果は何もない。民主党政権時代に「仕分けの女王」で一躍脚光を浴びたが、肝心の事業仕分けではほとんど成果を出せなかった。テレビカメラの前で役人をイジめて国民の喝采を得る、というパフォーマンスに仕分けは利用された。

予想通り、民進党の党代表選は蓮舫氏の対抗馬がなかなか出てこない中で、前原誠司元代表と玉木雄一郎氏がギリギリのタイミングで推薦人を集めて名乗り出た。前原氏といえば性格はいいが鋭さや切れ味がないことで知られる。八ッ場ダムの建設中止を宣言しながら、その後の国交大臣が再開しても怒るどころか沈黙を続けた。民主党政権時代の政権運営の失敗を認めて、自らを「戦犯」と呼んだ。「その経験があるからこそ再挑戦させてほしい」という実直だが、なんとも心許ない立候補宣言だった。長野県の立ち会い演説会で、前原氏の「反省」を聞いた玉木氏は、「前原さんの蒔いたタネを安倍政権が刈り取っただけ。謝ってほしくない」と泣き出した。そこに蓮舫氏が割って入って、「玉木君、男が泣くな」。泣きたいのは三文芝居を見せつけられたサポーターである。