一切の助言、助力を打ち切った
一方、泣かない蓮舫氏は党代表選後半に激震に見舞われた。二重国籍問題である。つくづく時代を感じたのは過去の発言や映像が簡単にネットで検索できることだ。クラリオンガールからキャスターに転じた蓮舫氏は過去ログに事欠かない。25歳でキャスターデビューしたときには、「中国籍なのでアジア関連の取材で力を発揮したい」と朝日新聞に掲載されている。
党代表選が始まると、「生まれながらに日本国籍」「18歳で日本国籍を取得した」「17歳で台湾籍を放棄した」「18歳で放棄した」などと発言がクルクル変わった。「20歳にならないと放棄の手続きはできないはずだが……」と詰め寄られると「父親と行った」とか「母親と行った」と言い訳が二転三転。そのうち「父親が亡くなっており、正確な状況がわからない」と発言が後退し、「台湾当局に問い合わせているが古い話なのですぐにわからない。念のために9月6日に台湾籍を抜く手続きをした」と問題の収束を図ろうとした。しかし、台湾籍を抜くときにはパスポートの返還が必要なはずと問い質されると、「家中をひっくり返してパスポートが見つかった」。そうならば有効なパスポートを肌身離さず持っていたことになる。17歳、18歳で台湾籍を抜きにいったという話は一体何だったのか。
結局、「台湾籍があり、二重国籍だった。申し訳ない」と釈明したが、これは党員投票が締め切られた後の9月13日のこと。当然、選挙はやり直すべきだし、私もそのように民進党首脳陣に働きかけたが、執行部はこれを押し切って15日の議員投票になだれ込み、蓮舫氏は大勝した。新旧執行部の4人組は「してやったり」だろうが、そうはいかない。その場しのぎの出任せを言い続ける人間が先頭に立って安倍政治を追い詰めていくのはもとより不可能だし、そんな党代表を戴いた政党がどんな末路を迎えるのか、与党やほかの野党が示すだろう。
幹事長に野田佳彦前首相を選ぶなど、身辺警護重視の党役員人事を見ても、新しい民進党に生まれ変わる期待感は持てない。私は今回の党代表選を機に、民進党に対する一切の助言、助力を打ち切ることを決めた。未練もない。
国民の負託を受けている国会議員にとって、「国籍」は原点である。そのことをおろそかにして12年も歳費をむさぼっておいて何の良心の呵責にもさいなまれない国籍不明の代表、負け犬の戦犯、泣き虫の3人しか党代表候補を出せなかった民進党にもはや存在意義はない。