野党第一党への期待は壊滅状態
9月15日、民進党の新代表に蓮舫元行政刷新相が選出された。野党転落から3年9カ月で、民主党時代を含め、党首は海江田万里元経産相、岡田克也元外相に次いで3人目だ。
岡田前代表の再選断念は今年7月の参院選で与党の勝利を阻止できなかったのが最大の理由だが、世代交代を唱えて退場したのは、鳩山由紀夫元首相、菅直人元首相、小沢一郎元代表、野田佳彦前首相、海江田元代表らが率いた「民主党第1~第2世代」の時代の終わりを実感したからだろう。
2012年12月の総選挙以来、衆参選挙4連敗中の民進党は「第3世代の旗手」「初の女性党首」がセールスポイントの新代表を選択した。最重要課題は、いうまでもなく海江田、岡田両代表が達成できなかった連敗阻止、再生・復活を実現できるかどうかだ。
何よりもまず新代表が党の現状をどう認識しているかがカギとなる。09年に政権交代を実現した旧民主党の軌跡を振り返ると、1998年の新進党解党後、政権交代可能な代議制民主主義の実現を望む国民の期待感の受け皿を目指し、党が一丸となってその期待感の醸成と拡大に努めて、09年の政権獲得に結びつけた。党の再生・復活には国民の期待感が再醸成されるかどうかが最大のポイントである。
現状はどうか。衆参選挙4連敗、政党支持率の長期低迷などを見ても明らかなように、野党第一党にもかかわらず、期待感は壊滅状態といっていい。「党の支持基盤も人材もボロボロ」と国民の目は冷たい。
ところが、岡田前代表を含め、民主党政権を担った「第1~第2世代」のリーダーたちには「党の基盤は、言われるほど毀損していない」「与党経験も積み、有能・有力な人材も豊富」という意識が残っている面がある。民意との認識の乖離は大きい。
蓮舫新代表は就任の挨拶で、「しっかりと選択してもらえる政党をつくる」と述べた。野党転落後、「選択してもらえない政党」が民進党の現実という自覚がうかがえる。
代表選で敗れた前原誠司元外相も、立候補を決めたとき、「失敗の経験、猛烈な反省、それをバネにした党の再生」と表明した。「期待感消滅」を認識している証左である。「第3世代」が率いる民進党には、その点では期待が持てる。
だが、ほぼ完全消滅状態といっていい民進党への国民の期待感の再醸成は、もちろん簡単な話ではない。