「選挙互助会」的な党体質を打破できるか
蓮舫新代表は就任後、テレビ朝日の番組で「初の女性首相を目指す」と答えた。心意気は評価したいが、民進党内では「蓮舫代表で政権奪還」と本気で予想する人は少ない。
代表選での支持は、「第3世代の旗手」「初の女性党首」「民主党政権時代の事業仕分けで見せた突破力」「民進党には希少価値の情報発信力」といった点を買って、次期総選挙での党勢挽回、露骨にいえば議員や立候補予定者の生き残りにプラスという計算が先に立った面が強い。万年第2党に甘んじても、危機感を持たない「選挙互助会」的な党体質は、国民の期待感の再醸成にとって大きな壁だ。
蓮舫代表の過去の言動で気になるのは、党内の支持獲得のためか、路線や方針が総花的で、どの勢力にもいい顔をする八方美人的な対応が目についた点である。これでは「選挙互助会」の壁は打破できない。
もう一つは「二重国籍問題」への対応から浮かび上がった「計算と言い訳の蓮舫」という一面である。代表選の投票スケジュールをにらんで二重国籍を公表する一方、弁明で右往左往という失態を演じたが、党首の資格と要件という点で、失地回復に予想以上の困難が伴う可能性がある。
民進党がもう一度、国民の期待感を手にするには、「異色のリーダー」「路線と政策を明確にする党の旗」「将来の政権担当に不可欠の統治能力と政策実現力」の3点が条件だが、第一の「異色のリーダー」は今回、曲がりなりにも実現した。
だが、大きな課題がある。民進党の馬淵澄夫元国交相はインタビューで「民進党に欠けているのは党の掌握。企業だったら、あらゆることを全部、掌握したトップが会社を動かしていくのに、わが党はここまでずっと党の掌握ができていない人がリーダーになっている」と話していたが、蓮舫代表も「党の掌握」の手腕と力量は未知数だ。
第二の「旗」は、代表選の論戦では必ずしも明確にはならなかったが、政権選択選挙である総選挙となれば、明確にしなければならない。問題は共産党も含めた野党共闘をどうするかである。他党との調整ではなく、民進党が何をやる党か、自ら路線と政策を明確にして「じたばたせずに自力復活」という道を覚悟する。それが期待感の再醸成の第一歩だろう。
第三の「統治能力と政策実現力」では、なんといっても、経済政策の運営力を磨くことができるかどうかだ。