金正恩は、自滅するか暴走するか

北朝鮮は今後どうなるのか、シナリオは4つ考えられる。一番可能性が高いのは自滅シナリオ。会議中の座る姿勢が悪いというだけで副首相が銃殺されるほど粛清の嵐が吹き荒れている。恐怖政治がエスカレートする状況で、明日はわが身の側近が金正恩の命を狙うことは大いにありうる。ルーマニアのように、独裁者が排除されたら案外ケロッと普通の国になりそうだ。

北朝鮮で恐怖政治を続ける金正恩党委員長(写真中央)。側近たちは「明日はわが身」とおびえる。(写真=AFLO)

2番目は暴走シナリオ。暗殺を恐れて国外に出られないほど金正恩は追い込まれている。せっかく開発したミサイル兵器を一度も使わずに殺されるのは嫌だという(論理的ではない)理由で、攻撃ボタンを押すことも考えられる。ターゲットはアメリカや日本よりも、やはり確実に叩ける韓国だと思う。「ソウルを火の海にする」が脅し文句でなくなるのだ。ただしアメリカの反撃は確実で、攻撃ボタンを押した次の瞬間、金王朝は滅びることになる。あるいはボタンを押す寸前にシナリオ1が発動して金正恩は消されるかもしれない。

第3のシナリオは話し合いによる開国。韓国には「統一省」があるくらいで、話し合いで南北統一に向かう可能性もなくはない。ただし、金正恩が相手ではまず話し合いには応じない。金正恩の生命を保証してロシア辺りに亡命させたうえでなら、その目も出てくる。

第4のシナリオは北朝鮮の一番の狙いで、アメリカとの単独交渉。アメリカを交渉の席に引きずり出したいから、アメリカに届く長距離ミサイルを開発し、危険な火遊びをしているのだ。新大統領がトランプ氏になればわからないが、普通に考えたらアメリカが単独交渉に応じるとは思えない。アメリカは北朝鮮の核なんて風船爆弾程度の脅威にしか感じていないから、まともに相手をするはずがない。

北朝鮮では外交官や兵士の脱北が相次いでいる。つまり敵前逃亡が始まっていて、ここから先は自滅シナリオが先か、暴走シナリオが先か、という展開になると思われる。

自滅でも暴走でも金正恩が消えれば、南北統一のプロセスに入れる。統一すれば日本にも引けを取らない、人口7600万人の大朝鮮連邦(Greater Korean Republic)が誕生し、韓国は自動的に核保有国になれる――。韓国人が密かに見ている夢だ。アメリカに乗っかるだけの日本に状況を動かす術はない。自らが攻撃対象になることがないように祈りつつ、ひたすら自滅を待つしかないだろう。