20~34歳男性未婚率、ただいま7割!

次のトピックは、若者の婚姻・恋愛です。私は今年で40歳になりましたが、まだ独身です。こういう身の上もあってか、若者の婚姻や恋愛に関する統計をこまめにウォッチしています。

若者の未婚化が進んでいるのは多くの方がご存じでしょうが、近年の注目される傾向は、恋人はおろか交際異性(友人として)すらいない者の増加です。図2は、バブル期の1987年と2015年現在の様相を比べたものです。20~34歳の男性の人口量を、正方形の面積で表しています。

少子化の影響で、ベースの人口量は1227万人から956万人へと減っています(全体の正方形が小さくなっていますね)。未婚者の量も減っていますが、全体に占める割合(未婚率)は上昇しています。1987年は60.7%でしたが、2015年では70.2%です。よく知られている「未婚化」です。

しかるに注目ポイントは、未婚者の中で、恋人はおろか交際異性すらいない男性が増えていること。1987年では実数にして351万人でしたが、2015年現在では459万人にまで膨れあがっています。20~34歳男性全体に占める割合も、28.6%から48.0%へと激増です。今日では、若年男性の半分近くが、恋人はおろか交際異性すらいないことがわかります。

この変化をもって「若者の草食化」と言われることが多いのですが、そういうメンタリティの変化だけに原因を帰すのは誤りでしょう。悲しいかな、恋人がいるかどうかは、当人が置かれた客観的状況に強く規定されています。男性は特にそうです。

私が前に、内閣府調査の個票データを独自に分析したところ、未婚で恋人もいない者の割合は、20代の正規雇用男性では50.4%でしたが、非正規雇用の男性では81.1%にも達していました(内閣府『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』2013年)。女性にはみられない、男性固有の傾向です。

大きな声で言いたくはないですが、男性の場合、結婚を前提にしたお付き合いをするなら、相応の経済力を求められる、ということでしょう。しかし、このご時世。男性の収入は減り、雇用の非正規化も進んでいます。若者の未婚化・交際異性ナシ化(図2)は、彼らを取り巻く経済状況の悪化という、社会全体の問題とも関連していると思います。

図2の面積図は、観察対象の相対比率(%)と同時に、その絶対量も視覚的に表現するのに使えます。この図のミソは、交際異性ナシの比重の増加に加えて、その絶対量が増えていることも可視化していることです(正方形の面積で)。読者の皆さんが仕事で売り上げの変化の相対量・絶対量を表すのに、こういう図法を使ってみてはいかがでしょうか。

次回も引き続き、国内外の統計を私流の切り口で図にしてお見せすることにしましょう。

(図版=舞田敏彦)
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