好きな仕事に就けなかったら

【稲盛】モチベーションを持てるよう努力するとき、自分の就いた仕事について、努めて「好き」になるのが一番いい方法ではないでしょうか。

現実には、世の中で自分の好きなことを仕事にすることができる人は少ないでしょう。だからこそ、自分から仕事を好きになる。好きになれば、自ずと集中できるので、上達も早く、やりがいが生まれます。

私がよく使う言葉に「思念が業(ごう)をつくる」という仏教の教えがあります。業とはカルマともいい、現象を生み出す原因となるものです。人生は、心の中で強く思ったことが原因となり、その結果が現実となって表れる。だから考える内容が大切で、その思念に悪いものを混ぜてはいけないと説いています。

今の仕事が「嫌だ嫌だ」と思っていたら、それが原因となり、結果としてモチベーションなど上がるわけがありません。成績も悪くなり、いい評価などもらえないでしょう。人生は強く思ったことが現象となって表れる。だから、今の仕事を好きになることが大切だと思うのです。

その際、仕事の取り組み方は、鈴木さんみたいに、「ど」がつくくらい、「ど真剣に」打ち込むべきです。一度きりの人生を、ど真剣に生き抜く真摯な姿勢があれば、どんな仕事も好きになるでしょう。そうすれば、モチベーションは自ずと上がっていくはずです。

京セラは高収益体質!/セブン-イレブンは売り上げも伸び率もNo.1!
 
稲盛和夫
京セラ名誉会長。1932年、鹿児島県生まれ。55年京都の碍子メーカーである松風工業に就職し、ファインセラミックの研究に邁進。59年、27歳のときに、京都セラミック株式会社(現・京セラ)を設立。通信自由化を受けて、84年に日本初の異業種参入電気通信事業者となる第二電電企画(現・KDDI)を設立。2010年には民事再生法の適用となった日本航空(JAL)の会長に就任。無給で再建に尽力し、12年に再上場を果たす。
 
 
鈴木敏文
セブン&アイ・ホールディングス
名誉顧問、イトーヨーカ堂会長。1932年、長野県生まれ。中央大学経済学部卒業後、東京出版販売(現・トーハン)入社。63年、まだ5店舗の中小企業であったヨーカ堂(現・イトーヨーカ堂)に転職。73年セブン-イレブン・ジャパンを創設して日本一の小売業に育てる。2001年、日本初の異業種参入銀行であるアイワイバンク銀行(現・セブン銀行)設立。05年セブン&アイ・ホールディングス設立。
 
(勝見 明=構成 本浪隆弘=撮影)
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