人気PRプロデューサー・殿村美樹さんの企画書を見て、思わず絶句。殿村さんは「ひこにゃん」「うどん県」ブームの仕掛け人です。「思わず買いたくなる商品説明書」という取材のために殿村さんの事務所にお伺いしたところ、実際に自治体に提出したという企画書を見せてくれたのです。
その企画書にかかれていたものとは……。お世辞にもうまいとは言いづらい手書きのイラストでした。色鉛筆で走り書きしたようなゆるいイラスト。殿村さんは自治体以外の企業でも、大抵そんな手書きイラストを企画書に盛り込んでいるそうです。
「みなさん私の絵を見て、下手くそやなあって、突っ込んでくれます。自分のほうがもっと上手だと、その場でイラストをかいてくれる人もいますよ。下手なイラストを入れておくことで、間違いなく場が盛り上がるんです」
お堅い自治体のムードが一転、みんなで和気あいあいとアイデアを出し合う場になる。もちろんほかのページには、グラフや図を駆使したデータや根拠、顧客心理分析などがきちんと書かれているのですが、そこを見る人はほとんどいないのだとか。大抵はイラストだけを見て、やる気になるのだそうです。
今回の取材を通じてわかったことは、「資料はパッと見が大事」だということ。一瞬で顧客の心をつかむために、視覚は重要なファクターなんですね。もちろん、視覚のテクニックが効くのは営業の場だけではありません。たとえば銀行への“言い訳”にも通用します。
「銀行が最も警戒するものって、わかります? それは、“ジリ貧”なんです」
こう教えてくれたのは、数多くの赤字経営の会社を建て直してきた中小企業診断士の安田順さんです。“ジリ貧”とは、売り上げが毎年ジリジリと下がり続けること。大幅な減益でなくとも、そういうジリ貧決算書を見ると、「もしかしたら、このままずっと売り上げが下がり続けるかもしれない」と、銀行は警戒を始めるのだそうです。
確かに住宅ローンを組むときでもそうですよね。いくら高い年収でも、毎年少しずつ下がっていると銀行の審査が厳しくなります。そんなとき、どんな資料を銀行に提出したらいいのでしょう――。
プレジデント9月26日発売号の特集「『資料作り』のすごい心理テクニック」では、納得してもらえる赤字決算書をはじめ、通したくなる企画書、出世させたくなる営業日報、など、様々な資料の書き方テクニックをご紹介しています。数々の自治体から受注を勝ち取ってきた殿村美樹さんの“ゆるいけど失礼ではない”手書きイラストも特別に掲載させていただきました。ぜひご覧ください。