今や企業はTOEICの点数プラス、英会話力の有無で各人の英語力を判断するほどに。敏腕英語講師2人の本音から、英会話力が伸びる人・伸びない人の特徴をまとめた。

初期設定を間違うと、英語は伸びない

日本で生まれ育ち日本語を母語とする日本人にとって、大人になってから英語を身につけることは容易ではありません。まず学習の取り組み方=初期設定を間違えると、英語習得は難しいでしょう。「楽しくレッスン」の意識ではダメ。受験勉強以上に厳しく、真剣な取り組みが必要なものなのです。徹底して学習すれば半年で英語が理解でき、そこではじめて楽しいと感じます。定着を考えると1年。本気で取り組むならある意味1年でも十分。だらだら10年続けても意味がありません。

「NCC綜合英語学院」主幹 清水正也氏●学生時代から翻訳学に没頭し、通訳、予備校講師、同責任者を歴任。ビジネスではない、真の英語教育を求め、現学院へ。「真剣に取り組めば、英語は半年で伸びるものです」。

文法をないがしろにする人も伸びないですね。例文の丸暗記や、文章の成り立ちを理解せずに会話すると、いつまでも簡単な日常英会話やブロークンの域を脱しません。そうならないためにも、自分と同じ環境(日本で生まれ育ち、母語は日本語)のもと英語を習得してきた日本人講師から理論を学び、英語習得の道案内をしてもらうのがいいのです。英会話の理論を学んだうえで試すのが、外国人との会話。練習の場として外国人との会話を使えばいいけれど、外国人だけから習おうとしてはいけません。英会話は口頭英作文。理論を理解し、文法や理屈がしっかりしている人ほど、臨機応変に対応できています。

英語は、知識プラス口に出す練習で上達

よく「TOEICは900点あります」と言う人がいます。周囲も900点あればしゃべれると勘違いしている。けれど、900点あっても実際は会話ができない人も多い。企業側にとって英語力を測るのに、今や英語面接は必須。TOEICスコアは評価の前段階、話せてはじめて「英語力がある」と判断されます。ただし、英語が話せる=仕事ができる、は別。業種の数だけ専門用語があるので、プラス専門英語を知らなければビジネスでは通用しません。

大人の英会話の場合、「話す・聞く」の前に、必ず「書ける・読める」があることが上達の前提。書けないものは話せないし、読めないものは聞けない。内容が複雑になるほど、日本語で理解できなければ英語で表現しにくくなります。文字化しても理解できない英語を「聞くだけ」「ただ話すだけ」の学習をしていては、到底上達はしません。もっとも、会話は蓄えた知識をいかにスムーズに出せるかが勝負。理論がわかったら次は練習です。英会話は「口が勝手に動く」までやらないと上達しないもの。外国人との会話で間違った、緊張して言えずに悔しかったことはメモして次に備えて口に出す練習を。英語は理屈半分、残りは練習。スポーツと同じです。頭に浮かんだらすぐに口が自然と動くまで繰り返し練習することが重要なのです。