高度な日本語を使う人ほど話せない

「なぜ英語を習得したいのか」という明確な目標がなく、“なんとなく”の気持ちで臨んでいる人は達成度が低いですね。海外転勤で必要に迫られているなど目的がはっきりしている人は伸びが早い。自分が英語を使うシーンを想定でき、かつレッスン以外でも勉強していますから。逆に伸びないのは、受動的な下準備をする人。市販の英会話テキストや表現集を丸暗記すれば大丈夫だと思う人です。でもテキストの中にどれだけ自分にぴったりな例文があるでしょうか? また、きちんとした日本語を話している人ほど、使える英語の習得に時間がかかります。例えば、店員の「またお越しください」という丁寧語。ネーティブ表現は“Have a good day!”ですが、これを“Please come back again.”と直訳してしまう。日本語を100%完璧な英語に置き換えようとすること自体がムダ。直訳せず、日本語を日本語で柔らかく「リフレージング」(最適化)することが英会話上達のコツなのです。

英会話講師 大橋健太氏●英語力ゼロからバイリンガルとなった経験から、日本人の英語習得プロセスやコツを熟知。2日間で英語が話せると評判の「プラチナイングリッシュセミナー」は毎回満員御礼となるほどの超人気講師。

また、ネーティブ講師なら上達できると考える人もダメ。中級者ならコミュニケーションの練習としてはいいが、初級者は英語の意味が理解できない。ロジカルが理解できないままだと厳しいですね。かといって日本人講師に頼りすぎ、すぐに正解を聞きたがる人もダメ。能動的にできる人ほど伸びが早いです。

無口な人で「英語ならしゃべれるようになる」と考えている人もいますが、会話が不得手な人が英語になると突然会話上手になることはありません。会話量は英語でも日本語でも同量。また、英語力=語彙力だと信じ、英単語や英熟語、英文法ばかり勉強する人も会話上達には結びつきません。英語の知識量はものすごいけれど、その知識をどう組み合わせるかがわからず話せない。実際、TOEIC990点でも話せない人はいます。読み書きはできるし理屈も理解している。文章的な質問はできても、口語的な質問ができないんですね。言葉を覚えるステップは、「聞く・話す」の繰り返しから「読む・書く」につながります。まず口に出す力をアップし、それから文法を直していけばいい。英会話は自分の言いたいことをいかに自分の知っている英単語に置き換え、組み合わせていけるかが勝負です。

「恥」のブロックを外せる人は伸びる

まず頭で正解を考えてから口に出そうとする完璧主義の人は伸びませんね。おおざっぱでいい加減な人のほうが、会話力は伸びる傾向にあります。完璧な英語でなくてもコミュニケーションは可能。恥ずかしいという気持ちが会話をブロックする。間違いながらも小さな成功体験を重ね「恥」を取り除いていく。口に出す練習をしなければ、何年続けても話せません。