“iPhoneをかざして決済”ができるところはどこ?
日本国内でのApple Payは10月下旬より開始を予定している。前述のようにサービス開始以降に指定のクレジットカードを登録すれば、iDとQUICPayに対応した店舗の決済端末を通して買い物が可能になる。
Suicaについては、既存のカード情報をiPhoneへと吸い上げてiPhoneに登録するか、10月の正式サービス開始のタイミングで提供される「Suicaアプリ」を用いることでiPhone内にSuicaカード情報を作ることができる。あとはおサイフケータイ同様に、改札やレジ横の読み取り機にかざすだけで通常のSuicaと同様に利用できる。Touch IDの指紋認証は必要ない。SuicaへのチャージはViewカードを利用するか、Suicaアプリを使ってApple Payで登録していたカードを使ってオンラインチャージが行える。このほか、Suicaアプリでは特急券やグリーン券のオンライン購入も可能で、使い勝手としては現在スマートフォン向けに提供されている「モバイルSuica」のそれに近い。
Apple Payの日本上陸は日本人の生活を変えるか?
では、本当にApple Payの日本上陸は日本人の生活を変えるのだろうか?
筆者の考えでは、それはおそらく「イエス」だと思う。先ほど米国でのApple Payの利用経験率を紹介したが、25%弱という数字は日本のおサイフケータイ利用率と比較してもかなり高い水準だろう。ただ、この数字は「一度利用したことがある」というだけで、リピーターではない点に注意したい。継続利用されなければ、全体としてのユーザー数も決済件数も増えないからだ。
現状、FeliCaが使えるインフラが日本全国に普及しているのに反して、おサイフケータイで使えるサービスの進化は2010年代に入りほぼ止まったままだ。日本国内でおサイフケータイの利用が足踏みしていた理由は2つあると考える。1つは「おサイフケータイを使い始めるまでの設定のハードルの高さと煩雑さ」で、もう1つは「おサイフケータイの使えないiPhoneが日本国内のスマートフォン市場で大きなシェアを得ている」というところにある。
それでは、iPhoneがおサイフケータイに近い技術に対応したことで、日本のモバイル決済のユーザーを増やし、その使い勝手をさらに良くする提案をしてくるのならどうだろうか? iPhone 7や、それに続く次世代、次々世代のiPhoneに期待したいのはこの部分だ。そのとき初めて、「iPhoneとApple Payは日本人の生活を大きく変えた」といえるのかもしれない。