進化したiPhoneがたどりついたもの

iPhoneは年1回新製品が登場するが、「iPhone 7/7 Plus」も順当に進化している。1年前の製品に比べれば大きな性能的な差異があるわけではないが、多くのユーザーが携帯端末を買い換える2~3年の周期でみれば、その着実な進化をある程度感じ取れるはずだ。中央でさまざまな処理をこなす半導体チップの性能が向上することで、これまで利用していたアプリの動作がさらに快適になり、カメラの性能が向上することでより綺麗な写真が撮れるようになる。特に上位モデルで大型の「iPhone 7 Plus」では、カメラレンズを本体に2つ搭載することで、これまでスマートフォンでは難しかった自然な望遠ズーム画像が撮影できたり、デジタル一眼レフで撮影したかのような“ボケ味”をもった写真撮影を楽しめる。

iPhone 7の防水・防塵レベルは「IP67」。これは防塵レベルが6級(粉塵が内部に侵入しない)、防水レベルが7級(連続的に水中に置いても有害な影響がない)という意味だ。

だが今回のiPhone 7の最大の注目ポイントは「防水対応」と「FeliCa(フェリカ)チップの搭載」だ。日本で発売されているスマートフォンや携帯電話は、その多くが防水機能に対応しており、多少の水没や水がかかった程度では本体内部に水が浸入して機械を壊してしまうようなこともない。iPhone 7では、iPhoneでは初めて生活防水機能と防塵機能に対応し、前述のようなアクシデントでiPhoneの動作が止まってしまうような事態は防げるようになっている。これまで防水に非対応という理由でiPhoneを避けていた人にとっては購入動機につながる大きなセールスポイントだろう。

そして、iPhone 7ではFeliCaチップを搭載し、日本国内のコンビニや公共交通で広く利用されている電子マネーのインフラが利用可能になっている。これに合わせ、Appleはこれまで世界9カ国で展開していた同社の決済サービス「Apple Pay」の日本でのサービス開始を発表。Apple Payの名の下で東日本旅客鉄道(JR東日本)の「Suica」、NTTドコモの「iD」、JCBなどが推進する「QUICPay」のサービスが利用可能になった。SuicaのカードやApple Payに対応したクレジットカードをiPhone内に登録すれば、これら3種類のサービスが利用可能な小売店や自販機、あるいは駅の改札などで“iPhoneをかざしてお金を払う”ことができるようになる。

日本人にとって、新しいiPhoneの最大のトピックは、Suicaが使えるようになったことと言えそうだ。iPhone 7/7 Plusのほか、Apple Watch Series 2も改札で“タッチ&ゴー”ができる
今回利用できるFeliCa電子マネーは「Suica/iD/QUICPay」の3種類。9月8日現在、楽天の「Edy」、セブン・アイ「nanaco」、イオン「WAON」などが利用できるかどうかはアナウンスされていない。

順当な進化だが、特に防水とFeliCaに準拠した電子マネーサービスへの対応は、クック氏のいうように“日本人”の生活にはなくてはならないものかもしれない。あまり代わり映えしないという意見も聞かれる最近のiPhoneだが、iPhone 7については少なくとも日本人にはそう思えないだけの何かがある。次項ではもう少し、このApple Payについて詳しくみていこう。