閑古鳥が鳴くVAIO スマホ売り場

「VAIO Z」と「VAIO Phone」。

「VAIO Phone」が3月下旬、家電量販店で販売が開始された。そこで、都内にある数軒の店を覗いてみた。どこも売り場は寂しい限りで、ほとんど手に取る人もいないといった状態だった。店員に話を聞いても、「売れるのは隣にある2万9800円の台湾メーカーのものばかり」という有様だ。

一方、アップルのiPhone売り場を見ると、多くのお客で賑わい、次々に操作している人が目立った。「アップルと対抗できるブランドはVAIO」と日本通信の三田聖二社長は豪語したが、この状況を見ると、VAIO Phoneはその足元にも及ばないといったほうがふさわしいだろう。

VAIO Phoneはアンドロイド5.0のスマートフォンで、製造・販売を日本通信が担当し、デザインをVAIOが監修した。しかし、そのスペックやデザインは台湾メーカーの格安スマホとほとんど変わらず、VAIOらしい尖ったところは全くと言っていいほどなかった。しかも、価格は台湾のものより2万円以上高い5万1000円。

そのため、VAIOファンの多くは失望し、3月12日の発表直後から“VAIOスマホ”に対する酷評が相次いだ。ネット上では「裏切られた」と大炎上する騒ぎとなったほど。これでは、売り場で見向きもされないのも当たり前だろう。

VAIO関係者によれば、「今回のスマホは日本通信の製品であり、VAIOがつくったわけではない」とのことだ。確かに、発表会ではVAIO側の発言は少なく、日本通信側が前面に出ていた。しかし、「VAIO」という名前をつけたなら、そんな言い訳は通用しない。言い訳をするくらいなら、出さなかったほうがよかった。