学校をつくる、職場をつくる。

地方が緩やかな衰退を続けている一番のポイントは、人口の減少であることは言うまでもない。

地方創生の中で最も重要なことは若者を県外に出さないということであり、それには高等教育が重要なポイントになってくる。今の若い人たちは地元志向が強く、本当は地方に残りたい。しかし学ぶ場所、働く場所がないから外に出て行かざるを得ない。若者を引き留めておく場所としての学校も必要である。

大学への進学率は約50%で、その50%を受け入れるだけのパイが地方にはない。そこで都市部に進学し、仕事がないから戻らない。こういった人口流出を抑えるには、大学など、学ぶ場所をつくることが急務だ。

都市部の学校に卒業した若者が地方に戻ってくるには、魅力のある職場も必要である。学校があり、仕事があれば、そこには病院やエンタテインメントなどの生活インフラも集積される。

 

絶対数が少ないという事実があったとしても、ヤンキーの虎たちの事業を含め、地域に魅力的な働き場所があることを伝えきれていないというケースもある。

活躍してほしい世代は都会に出ていき、働き先がないので戻って来られない。リスクを取れる優秀な人たちが足りず、ビジネスが育たないから、やはり若者が戻れない。

地方の有力企業から東京の優秀な人を採りたいというニーズがあり、大手の就職支援会社が本格的なリクルーティングを検討する動きも出ている。私が運用する「ひふみ投信」「ひふみプラス」という日本株投信では、有名な大企業より、上場はしているものの有名とはいえない中小企業への投資がリターンの源泉になっている。そのような会社は東京以外の都市や地方に多い。

ヤンキーの虎も成長の過程でだんだん近代的なマネジメント能力が必要になるし、それを担える人材を送り込むことによって、競争は拡大され、成長が促進される。ある意味では、国がやるより民間の力のほうが早いだろう。