銀行が5・6億円も融資を付ける理由

金額が金額なので、現実味がほとんど感じられない。金森氏は「個人でもできる」と言うが、そもそも6億円を用意できる個人はそういないのではないか。それを「もう一個」なんて、ますます夢のようだ。

金森氏が運営するメガソーラー発電所「宮古島ちゃんとした発電所」は宮古島の西、大浦湾近くにある。2015年4月14日に行われた竣工式には宮古島市の副市長、市議会議長、沖縄電力関係者などが多数出席するなど、地元の歓迎ぶりが窺える盛り上がりだった。

「そうですかねぇ。私の発電所は6億円のうち5億6000万円は融資ですよ。持ち出しは4000万円です。今、女房が北海道で同じようにメガソーラー建設を計画していますが、総事業費5億5000万円のうち銀行が5億円を融資してくれることになっています。なぜ銀行がこれだけの融資を付けてくれるかわかりますか? 発電設備と売電収入が担保になるABL(動産・売掛金担保融資)という制度が適用されたのと、国が法律まで作って買い取り価格を保証していることで、回収の見込みがしっかり立つ。銀行としてもこんなに手堅いビジネスはないんです」

相場格言に「国策に売りなし」というのがある。「国の政策に絡んだ事業は盤石ゆえ、関連企業の株は売るべからず」の意味だが、金森氏はさらに踏み込んで「国策に飛び込め!」というわけだ。再生可能エネルギーは固定価格買取制度の見直し等もあり、新規参入する旨みは減っているが、次なる“国策”はきっとある。

「例えば先日、安倍首相がトヨタの燃料電池車“MIRAI”に試乗したというニュースがありました。国が燃料電池車を普及させようとしているなら、水素ステーションが必要になるな。それって個人ではできないのか? という具合にね」