先行事例を疑い、見方の角度を変える

「私たちの最大の弱点は諦めることにある。成功するのにもっとも確実な方法は、常にもう1回だけ試してみることだ」

エディソンはそう語り、実験を続けた。失敗しても「失敗したのではなく、700通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」と前向きだ。既存のものを疑い、違った角度から物を見続けることで、今まで何度も見てきたものがある日突然違った見方ができ、新しいものが生まれて行く。

世界的なヒット作『アナと雪の女王』は、元来はアンデルセン原作で悪の女王が主人公の『雪の女王』だった。長い間、脚本は不採用だったが、脚本家のジェニファー・リーが主人公を悩める勇者につくり変え、史上もっとも成功したアニメ映画に変身させてしまった。今まであったものを疑い、少し視点をずらすだけで大きく物事が変わった一例だ。

「世界的な成功を収めるような人たちが違うのは、失敗よりも、挑戦しないのを怖れること。とにかく多くの挑戦をして、もっとも多くの失敗をしている人でもあるということです」とグラントは語る。

素早く着手し、仕上げに時間をかけて創造性を高めること。生み出したアイデアさえも疑って、さらに違うものを見つけだすこと。そして「思い通りにならないのはあたりまえ」という前提を持って挑戦することが、せっかくの発想を生かす一番の術かもしれない。どんな偉人も、失敗の積み重ねが成功のエッセンスとなっているのだから。

[脚注・参考資料]
Adam Grant, The surprising habits of original thinkers, TED2016 Feb.

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