子供のやる気を根こそぎ奪う毒母

私は毎日のように、子供の思春期に悩む母たちからの相談を受けたり、子育て中の話を聞かせてもらったりしているが、その中で感じることがある。

「子育てをしている女性は『子育てが上手な母』と『不得手な母』に分かれる」ということだ。

「不得手」であっても、子供はやがて大きくなるのだから、大した問題にはならないように思う方もおられるかもしれないが、子供が思春期に入るや否や大問題に発展しやすいのだ。

今回は「子育てが不得手な母」について私見を述べてみたい。

母が子育て上手か、下手かを見極めるポイントに、そのお子さんの「やる気」がある。この場合の「やる気」は「自分の人生を自分のものとして生きようとしているか」という意味での「やる気」である。

親(特に母親)から何らかの形で、生きる気力を奪われてしまった子供は「やる気のなさ」を態度に現し、対抗する。それしか親と互角に対峙する方法を思い付かないからだ。

母がそれに気付かずに同じ調子で子供を責め続けた場合、最終的には子供は自分の人生を「他人事」として生きて行くことを選びやすい。

では、どういうタイプの母が子供をこのような形に追い込むのか、事例を挙げてみよう。

【1:ハイジャック母】

子供の人生を乗っ取る母である。

自分自身の満たされなかった理想の人生像があるのか、子供の人生で生き直しを画策する母親は意外と多い。例えば、娘に対し「勉強をして一流と呼ばれる大学に行け」と強要する。素直な娘であればあるほど、母親の夢を叶えようと頑張る。

そして、目的を達成した20代半ば、今度はその母親が手のひらを返したかのように「結婚して家庭に入るのが女の幸せ」という目標を強要してくるケースはとても多い。そればかりか娘の恋愛にも我がことのように首を突っ込んでくるようになるのだ。

大人になった娘は「マリオネット」である自分自身にただただ困惑するばかりである。