新しいIT環境の導入、同僚とのコミュニケーション、上司とのやり取り、後輩への指導……私たちの職場はストレスで満ちあふれている。年々増えるばかりのストレスとどのようにうまく付き合っていくかで、仕事の質も大きく左右されると言っても過言ではない。
4000名以上のビジネスパーソンをカウンセリングしてきた経験をもつ著者の鈴木雅幸氏は、「一流のビジネスパーソンほど、感情を整えるのが上手」という。しかも5秒という短い時間で整えることが可能なのだ。元トラック運転手の経験を持ち、心理カウンセラーとして活躍する鈴木雅幸氏が、すぐに実践できる「感情の整え方」を伝授する。
笑えるような生き方をしているから笑える
私たちは何かに悩み始めると、そのことだけに心をとらわれて、本来見るべきものが見えなくなったり、感じ取れるものが感じられなくなったりします。
そこで質問です。悩んでいる人の生活から最も失われるものって、一体何だと思いますか。ズバリ、それは「笑い」です。笑いのある生活です。
悩み始めると、笑いが日常の生活から消えてしまうのです。つまり、私たちは悩み始めると笑わなくなる……そんなの当たり前じゃないか。そう思うかもしれません。でも、厳密にいうと、悩むことと笑えなくなることは、全然関係がないのです。
うつ病などの心の病気でなければ、悩みながらでも、私たちは笑うことができます。試しにやってみてください。笑ってみてください。ほら、笑えるはずです。にっこりと……。
だから、悩んでいるから笑えなくなったのではないんです。笑おうと思えば笑えるのです。笑おうと「思えば」……。つまり、笑おうとしていないのです。
いつも笑顔が絶えない人がいます。そういう人は、笑えることがまわりで起きるから笑っているわけではありません。笑えるような生き方をしているから、笑えるのです。心が明るくなること、温かくなることをいつも考えているから、人は笑えるわけです。つまり、
「悩んでいるから笑えないのではない。その人が笑えるようなことを考えていない、心が明るくなることを考えようとしていないから、笑えなくなっている」
ブスっとしているのは、ブスっとしたくなることを考えているから。落ち込んでしまうのは、落ち込んでしまうようなことを考えているから。人は何を思い考えているかで、人生が全然違ってくるのです。