ポスト舛添の次期都知事選は本命不在の混戦か
7月10日に参院選を控える国会議員は敏感で「東京は本当に難しい選挙だ。悪い風も吹いている」(石原伸晃都連会長)、「あの人は舛添ではなく、『巻き添え』だ」(平沢勝栄衆院議員)と悪影響を懸念する声が広がり始めた。改選過半数を獲得目標に掲げた安倍晋三政権も「舛添氏を守って、政権が揺らげば意味がない」(首相周辺)との立場だ。政府高官は長老組とは距離を置きつつ後継候補を模索しており、舛添氏には早期辞任を求めていくとしている。舛添氏が6月中に辞職すれば「8月選挙」となる公算だ。
自民党の小池百合子元防衛相や民進党の蓮舫代表代行、橋下徹元大阪市長らが「ポスト舛添」候補にあがる中、自民党の一部からは「この際は人気がある『櫻井パパ』になってもらってもいい」との声も漏れる。総務事務次官を務め、人気アイドルグループ「嵐」の櫻井翔の父親として知られる桜井俊氏は、世耕弘成官房副長官ら政権中枢にも近く、若年層や浮動票の獲得を期待できるとの読みもある。舛添氏を擁立し、逆風に立たされている自民党側としては状況を一変させる候補者となりうる人物といえる。
しかし、官僚一筋でのし上がってきた桜井氏に後継候補となる考えはなさそうだ。次期都知事選への出馬の可能性について桜井氏は、周囲に「絶対に出ませんよ」と断言している。固辞する考えは固く、「週刊誌などに『次は実務型の官僚が良い』などと桜井氏に出馬を促すリークが出ることにも不信感を持っているようだ」(自民党幹部)という。期待感は高いものの「息子の人気だけで都知事選に担いだら都民から笑われる」(都連関係者)との理由もあり、桜井氏擁立は幻といえそうだ。舛添氏が辞任不可避の情勢となる中、本格的に始まる後継候補の選定作業。ポスト舛添を争う次期都知事選は本命不在の混戦となる可能性も出ている。