旧自治省グループが櫻井パパ潰しを画策

人気アイドルグループ「嵐」の櫻井翔の父親、櫻井俊氏が2015年7月31日付で、悲願の総務省事務次官就任を果たした。櫻井俊氏は総務省内で「櫻井パパ」と呼ばれている。

櫻井氏は1977年に東大法学部を卒業し旧郵政省に入省した。同期に日本郵便の高橋亨社長らがおり、櫻井氏らは「花の77年組」と呼ばれて将来を嘱望された。中でも櫻井パパは図抜けた存在で、早くから「将来の事務次官」と目されてきた。

政策立案能力が高く、人を束ね組織を動かしていくマネジメント能力も高いし、人柄も温厚。同期だけでなく、OB、後輩からも慕われた。“必ず櫻井を次官にする”が旧郵政省グループの合言葉でした」(旧郵政OB)

櫻井俊次官が誕生した総務省(PIXTA=写真)

ところが意外にも櫻井次官の誕生は難航を重ねた。

2001年の省庁再編で、旧郵政省は旧自治省、旧総務庁と合併して総務省に衣替えしたが、「総務省内の旧自治省グループが“櫻井潰し”を画策したのが原因」(同前)だという。

省庁再編前、中央官庁にははっきりと序列があった。トップは旧大蔵省(現在の財務省)で、以下、旧自治省、旧通産省(現・経済産業省)などが続き、旧郵政省は旧自治省よりもずっと格下の扱いだった。

この構図は3省庁合同後も続き、事務次官レースでも旧自治省が主導権を握ること多かった。省庁再編後、各省では、出身省庁が交互に事務次官を出す「たすき掛け人事」が行われてきたが、総務省では「格上」の旧自治省が一番多く次官を輩出。旧郵政省はその後塵を拝し、さらに格下の旧総務庁は冷や飯暮らしを強いられてきた。

昨年と一昨年も、ともに76年入省組の大石利雄氏、岡崎浩巳氏の旧自治省OBが2代続けて事務次官に就任している。しかも昨年、一昨年の人事は「櫻井潰し」の伏線だったという。総務省関係者が話す。

「実は、旧郵政省グループは、2013年夏の人事で櫻井次官を誕生させる構想を持っていた。それに備えて12年の人事では旧自治省に次官ポストを譲り、翌年に櫻井体制へという思惑だった。ところが、それを察知した旧自治省側が12年人事で“今回は旧郵政省にポストを譲る”とベタ降り。予想外の展開に旧郵政省グループは混乱。櫻井氏の1年先輩の小笠原倫明総務審議官(76年入省)が瓢箪から駒で、まさかの次官になった。小笠原氏は旧郵政省内で人望がなく、本来は次官の器ではなかったと言われています」