女性登用ブームの裏にある「差別」

一方、技能蓄積時期の結婚・出産・育児などのライフイベントによるキャリアの中断がアウトプットに影響を与えることはよく指摘されることだ。また、それ以上に問題なのはライフイベントが結果的に本人のキャリアアップに対する意欲を失わせることだと指摘するのはネット広告会社の人事担当者だ。

「入社後から20代後半ぐらいまでは女性社員も男性と同等に成果を出すし、キャリアアップを目指す女性も多い。ところが、出産・育児で1~2年のブランクがあると、その間に上昇志向が消えてしまう女性も少なくない。上昇志向が戻るまでに5年ぐらいかかる人もいる。復帰後もそれなりの仕事はこなすが、管理職になって上を目指すという女性がぐっと減る。当然ながら、アウトプット能力も男性に比べて低下してしまうし、これをどうするかが最大の課題だ」

女性は入社時のポテンシャルがいかに高くても、その後も会社への貢献度が必ずしも高いわけではない。仕事の内容によっては優秀=アウトプット能力では男性社員に劣る場合もある。

気になるのは最近の女性登用ブームの中で起きている現象だ。

上の命令で女性を抜擢するケースが多いが、建設関連会社の人事担当者はこう指摘する。

「昇格審査に立ち会っているが、本来は成果やマネジメント能力を見て公平に判定するべきだが、役員の中には『彼女は女性の割によくやっているよね』と言って上げようとする人もいる。色眼鏡で評価するのは間違っている」

色眼鏡で「女性の割によくやっている」と評価する男性は問題だが、もしかしたら「最近の新入社員の女性は優秀だよ」という人も同じ心理が働いているのかもしれない。

そうだとすれば「女性社員優秀説」は男性優位の差別意識を前提とした上から目線の言葉なのかもしれないという気がする。

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