子育て編
「結果よりプロセス重視“完遂感”が鍵になる」
これまでの話から、感情のコントロールを司る前頭前野は、20歳を過ぎると発達を止めてしまうことがわかった。では、将来キレる大人にしないためには、わが子の前頭前野をどうやって鍛えたらよいのだろうか。
まず、親が子供に対して、結果だけでなくプロセスを評価してあげることが大事になってくる。たとえば、子供のテストの点数や試合の勝ち負けなど結果ばかり気にする親に育てられると、子供も結果にばかり注目して、途中のプロセスを軽視するようになると黒川氏は言う。
「そのような子供は、運動も勉強も、『どういう道筋を辿ってその結果になったのか』が脳に記憶として残らないので、実力が身につかない。だから伸び悩み、ますますキレやすくなる」(黒川氏)
逆に結果はどうであれ、頑張ったプロセスを評価されて育った子は、「人が認めてくれなくても、自分は精一杯やった」という、「完遂感」を得られる。この完遂感は脳にとって快感なので、それを再び得るために、また努力できる子になる。
これに対して育つ過程において、結果でなくプロセスを味わうことを許してもらえなかった子は、「自分が頑張っているのに上司が認めてくれない」とか「家族が褒めてくれない」という状態に陥った場合、簡単にキレてしまう。
次に、わが子をキレやすい大人にしないためには、前頭前野を鍛えるだけではなく、規則正しい生活をさせることも重要になってくる。なお、これは大人にもいえることだ。
夜10時から深夜2時までの4時間は、成長ホルモンをはじめ大事なホルモンが分泌される時間帯。ホルモンは視神経の後ろにある視床下部と脳下垂体によってコントロールされている。
ところが、「その時間帯に起きていて、携帯端末の画面を凝視していると、視神経の緊張がとれずにうまくホルモンが分泌されない」(黒川氏)。
その結果、集中力が出るホルモンや、やる気の出るホルモンなどが不足してキレやすい状態になる。これを防ぐためには、子供には早寝・早起きの規則正しい生活をさせるべきなのだ。