【部下】「1カ月後に発売されるこの新商品ですが、まず月間3万個からスタートし、毎月2万個ずつ販売を増やしていく予定です」
【上司】「ということは、5カ月後にはいったいどのくらいになるのだろう……」
【部下】「(瞬時に)11万個を販売する予定であり、そうすると5カ月後までの累計は35万個になる見込みです」
【上司】「なるほど。ではしっかり頼んだよ」
さて、みなさんはこの部下のように瞬時に計算することができるだろうか。
今回の例では、最初が3万個で、毎月2万個ずつ増えていくので、5カ月後の個数は「3+2+2+2+2=11」と足し算をしてもさほど難しくはないと思うが、数が多くなればそうもいかないのではないか。
「3、5、7……」のように同じ数ずつ増えていく(あるいは減っていく)数列を「等差数列」という。ちなみに、「1、2、3……」のように1ずつ増えていくのも等差数列である。
等差数列において、何番目かの数を求めるときに便利な公式がある。それは「N番目の数=初めの数+差×(N-1)」である。
この公式は次のように証明することができる。初めの数をa、差をdとすると、「1番目の数=a」「2番目の数=a+d」「3番目の数=a+2d」「4番目の数=a+3d」と増えていく。つまり、dの数はN番目の数よりも常に1つ少ないのだ。したがって、「N番目の数=a+d(N-1)」の公式が成り立つ。