後発組が業界に本格参入するための武器に
バンダイは老舗の玩具メーカーだが、ベビートイというジャンルでは2010年に本格参入した後発組だ。にもかかわらず、参入4年後の14年には、業界シェア1割を超えるまでに成長。売り上げも、ベビラボ発売初年の10年度は年間約8億円だったものが、15年度には15億円(見込み)と約2倍に伸びている。ブロックラボも10年度約15億円から15年度は約23億円と右肩上がりだ。
脳科学と子どもの教育をリンクさせるという発想が、それだけ世の中のニーズにマッチしていたということだろう。開発することになったきっかけは一体何だったのか。
「ベビートイ市場への参入が遅れた以上、他社と差別化できる商品を開発する必要がありました。そこで出てきたアイデアが、脳科学とのコラボレーションでした」(村瀬氏)
日立グループとはもともと、社内の情報システムの構築などで関わりがあり、日立が脳科学の研究を進めていたこともあって、共同プロジェクトとして立ち上げることとなった。これが07年のことだ。
しかし、商品開発を半年から1年程度のスパンで進めることが多いおもちゃつくりと、数年から10年単位、場合によっては一生をかけて検証を行う研究の世界では、隔たりも大きかった。実際に最初の商品が発売されたのが3年後の10年ということからも、その困難さがうかがえる。
教育という分野で正しい検証結果を得ることの難しさにもぶつかった。村瀬氏が続ける。
「当初、私たちは『赤ちゃんの頭がよくなるおもちゃをつくりたい』と考えていました。しかし、正確なデータを出すとなると、赤ちゃんが成長して大人になるところまで見ないと結果は得られません。コンセプトを立てることすら非常に難航したのですが、世の中のママの声をヒントに、赤ちゃんがおもちゃのことを本当に理解して遊んでいるのかどうかを検証できないかというところからスタートすることができました」