【辻本】発売後は売り上げが伸びたか落ちたかに目をやります。落ちた場合は、何が悪いのか徹底的に分析する。ゲームの内容なのか、マーケティングなのか。私の仕事というのは、悪いところを探して手直しすることなんです。
【弘兼】数字がすべてを教えてくれる。
【辻本】うちの資料は全部数字なんです。言葉はいらない。その数字で会議もする。そして悪いところは改善する。それだけです。
【弘兼】日本では子どもの数が減っているので、コミック市場は右肩下がりになっています。ゲーム市場に置き換えると、少子高齢化はどのような影響を及ぼすと考えていますか。
【辻本】それですが、弘兼先生、このソフトウエアの世界の売り上げデータをぜひみてください。09年の427億ドルから14年の688億ドルまで、世界のゲーム市場はおよそ260億ドル伸びています。世界全体で見ると子どもの数は増えているのです。だからカプコンのゲームでは、世界市場を想定して、英語だけでなくフランス語、そしてスペイン語や中国語、さらにはアラビア語まで対応するようにしています。それに加えて、カプコンが進出していない、可能性のあるマーケットはまだまだたくさんある。言ってみれば可能性だらけです。
【弘兼】そのように「世界標準で戦わなければならない」という考えになったのはいつ頃からでしょうか。
【辻本】90年代に「ストリートファイター」は100カ国を超える国で売れていました。そこがスタンダードになっていますね。
【弘兼】結果として世界標準を求められるようになったと。
【辻本】その通りです。
【弘兼】「ストリートファイター」や「バイオハザード」、そして「モンスターハンター」など、それぞれのゲームがどの国でも受け入れられるようになっています。
【辻本】ええ、どのゲームを手がける際もオリエンタルな印象を与えすぎないようには気をつけています。