日本の原子力政策はエネルギー戦略とニュークリアレディ国になるための核戦略、この2つが表裏一体になって進められてきた。使用済み核燃料からプルトニウムを抽出して、循環させていく「核燃料サイクル」。これが実現すれば日本はエネルギー問題から解放されるということで、高速増殖炉やプルサーマル(プルトニウムとウランを混ぜた燃料を通常の軽水炉型原発で利用すること)の開発を表向きの国策として進めてきた。一方で、高速増殖炉やプルサーマルで使うプルトニウムを転用すれば90日以内に核兵器がつくれる。プルトニウムや関連技術を有しておくこと自体が抑止力になり、日本の安全保障になる、というのが裏側のニュークリア戦略だった。非核三原則の「持たず」「作らず」ではなく、「いつでも持てるようにしよう」「つくれるようにしておこう」が自民党保守派の本音だったのだ。

なぜ大量のプルトニウムを抱え続けるのか

今日、国際社会では日本はドイツとともにニュークリアレディ国として扱われている。

日本が貯蔵しているプルトニウムは国内外合わせて40トン以上。長崎型原爆なら1000発以上つくれる量だ。ただし、日本が国内に保有しているプルトニウムはプルサーマル用にウランと混ぜられていて、基本的にはそのままでは核兵器には転用できない。あくまで原子力の平和利用のために保有していることにしておきたいからで、アメリカから「そういう形で持っておけ」と言われているのだ。韓国が日本と同じようにやりたいと言ったときには、アメリカは明確にNOを突き付けた。だから韓国は再処理施設などを持たせてもらえない。それだけ日本とアメリカは特別な関係にあるし、アメリカとの阿吽の呼吸で日本の原子力政策は推し進められてきたのだ。

しかしプルトニウムを活用する高速増殖炉の実用化はまったく見通しが立たず、原型炉の「もんじゅ」は1995年の事故以来停止したまま。プルサーマル計画も福島原子力災害以降は実質的に頓挫している。ようやくプルトニウムを入れた高浜3、4号機を動かしたが大津地裁の判決で停止に追い込まれた。近年は中国などから「日本はなぜ使い道のないプルトニウムを大量に抱えているのか」と警戒する声が強まっている。それでも安倍政権が「もんじゅ」に予算をつけ続け、原発再稼働に熱心なのは、祖父の夢(自民党保守派の原子力政策)を引き継いでいるからだろう。