【田原】「ごちクル」は順調のようですが、昨年、新たに「シャショクル」というサービスを始めていますね。
【岸田】社員食堂のかわりにお弁当を販売するサービスで、「社食が来る」で「シャショクル」です。大企業さんなら従業員のために社員食堂を用意できるかもしれませんが、普通は難しい。そこで私たちが毎日日替わりでお弁当をオフィスにお持ちして、対面で販売します。
【田原】ランチタイムに外でお弁当を販売している店がたくさんありましたが、東京都では路上販売の規制が強化された。あれは追い風ですか。
【岸田】はい。問い合わせがすごく多いです。たくさんの会社が入っているようなオフィスビルはエレベーターも混雑するので、行きに10分、店に並んで10分、帰りに10分で、お昼休みが実質的に30分くらいになってしまう。そこでロスするより、社内でゆっくり食べてもらったほうがいいと考える企業が増えてきたようです。
【田原】「ごちクル」と違って「シャショクル」は対面販売だから、在庫を抱えることになりますね。廃棄が出るんじゃないですか。
【岸田】従業員数や、そのうち何パーセントの方がお弁当を買うのかというデータはだいたい分かるので、ほとんど売れ残りません。もし売れ残っても、弊社に持ち帰って社員に安く販売しているで、最終的に廃棄が出ないようになっています。
【田原】いま年の取扱高はどのぐらいですか。
【岸田】非公開ですが、もう100億円が見えてきています。
【田原】御社の競合はいるんですか。
【岸田】IT系で同じことをしている会社さんもいくつかは出始めています。ただ、まだ大きな競合にはなっていないですね。IT企業にとって、お弁当の宅配は案外ハードルが高いんです。ネットだけでなく電話でも注文を受けるならコールセンターがいるし、お弁当の商品開発では、卵焼きの味つけをどうしようかということまで考えないといけない。そうすると、一般的なIT企業にいる人材だけでは対応できないので。