海外展開を目指したい

【田原】岸田さんのところは、今、何人いらっしゃるの。

【岸田】350人ほどです。いま川上から川下まで手を広げることを選択肢として視野に入れているので、生産や加工のプロセスで元農家や元飲食店経営者もいますし、配達経験のある元ドライバーもいる。すごくコングロマリッドになっています。

【田原】そのうち上場するのですか。

【岸田】上場がすべてだとは思っていません。ただ、上場も選択肢として排除せずに経営に当たっています。

【田原】そうですか。今後は、どんな展開を考えていますか。

【岸田】まず日本でしっかり足場を固めることが先ですが、いずれは海外展開したいですね。東京オリンピックぐらいまでに、日本のおいしい食事を地球の裏側でも提供できる仕組みをつくりたいです。

【田原】海外? 日本のお弁当を海外に宅配するの?

【岸田】つくるのは、現地じゃないでしょうか。先ほど申し上げたように、いま私たちは販売だけでなく、製造から配達まで足を踏み入れてノウハウを蓄積しています。これをそのままフルパッケージを海外に輸出していけたらいいなと。

【田原】地域でいうと、どこですか。

【岸田】人が多い都市ならどこででも。狭いエリアの中に人が集中していて、ある程度のGDPがあり、道路やインターネットのインフラが整っていれば、世界中どこでも可能だと思います。

【田原】分かりました。挑戦、楽しみにしています。

岸田さんから田原さんへの質問

Q. 視野を広げるにはどうすればいいですか?

【田原】僕は興味の方向がすごく偏っています。政治や経済は好きだけど、芸能は関心がない。興味のないことまで無理して知ろうとしていたら、きっとくたびれてしまって頭の働きも悪くなる。

そもそも守備範囲外でも、本当におもしろいものならアンテナに引っかかってくるものです。芸能に興味がないと言ったけど、僕はAKB48にはまっています。秋元康さんと一緒に本をつくったとき秋葉原の劇場を取材したら、ステージと客席が一体になって燃えていて、本当に感動した。それ以来、彼女たちに注目しています。大切なのは、自分の感性に素直になること。視野を広げるとかにこだわらず、心のままにものを見ればいいのです。

 

田原総一朗の遺言:「自分の感性に素直になれ!」

田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。若手起業家との対談を収録した『起業のリアル』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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