廃棄が出ないお弁当屋さん

【田原】2009年4月にインターネット上で、「南青山惣助」というお弁当屋さんをオープンしますね。集客はどうしたのですか。

【岸田】楽天で5年半やっていたおかげで、インターネットで集客するノウハウは持っていました。たとえば検索結果の表示だったり、ホームページのつくりや写真の撮り方なども工夫できますから。ただ、オープンから半月はまったく注文が入らなくて、心が折れそうになりました。2週間過ぎたあたりから1日1本くらいのペースで注文が入り始め、結局、1カ月目は45万円の売上が立った。続けて2カ月目に300万円、3カ月目に450万円に。これならいけそうだということで、7月7日に会社組織にして、スターフェスティバルと名づけました。日本語でいうと「七夕祭り」。たくさんの人々の願いを叶えられる会社にしたいという思いを込めています。

【田原】ちょっと待って。お弁当を仕入れて注文が入らなかったら、廃棄が出るんじゃない?

【岸田】注文の締切は、お届けの2日前。注文を受けてから業者さんにつくってもらうので、廃棄は出ません。

【田原】注文は1食からできますか。

【岸田】1食でも可能ですが、配送料を別にいただくことになります。地域によって設定に違いがありますが、配送料が無料になるのは1万円以上のご注文から。企業の利用が中心なので、たいていまとまった数の注文になります。

【田原】なるほど。配達はどうしたのですか。

【岸田】配達の専門会社さんと一緒にやらせていただきました。我々は売るプロ。つくるところはつくるプロに、運ぶところは運ぶプロに任せて、それぞれプロフェッショナルなところを集めたほうが、お客様にいいサービスを提供できるという考え方です。

【田原】つくるプロのほうですが、お弁当業者だけでなく、飲食店とも提携していますね。これはどうしてですか。

【岸田】初年度は10のパートナーさんと提携して、約1億5000万円の売上になりました。2年目、さらに飛躍するために着目したのがレストランです。世の中には、美味しいけど出前をやっていなかったり、出前していても近所だけという飲食店がたくさんあります。それらの店と契約して料理をお届けできれば、お客様に喜んでいただけるはず。そう考えて、いろいろな有名店にお声がけしました。

【田原】スターフェスティバルは「ごちクル」というサイトを運営していますね。宅配してくれる飲食店やお弁当屋さんを集めて、注目できるようにしたのが「ごちクル」なのですか。

【岸田】そうです。おかげさまでおつきあいのある飲食店は600を超え、「ごちクル」の商品の種類も8000以上に。いま月に35万食売れています。