結果は大成功だった。並んだ店の中で異質な雰囲気を漂わせる丸亀製麺に、多くの客が引きつけられた。そうなると、各地のモールから次々と声がかかる。粟田社長いわく「兵庫でくすぶってたお兄ちゃん」の店が、北海道、九州と日本各地に出店することになった。

セントラルキッチンではなく“製麺所方式”を採用したことは、ここからさらに様々な効果を生んだ。全国に散らばったモールへの出店は、各店舗で麺を打つからこそ可能だった。

異例の出店スピードを支えたのも製麺所方式だ。ドミナントエリアを見定め、セントラルキッチンを建てて、という従来の方式では、出店可能な地域は限られる。丸亀製麺の場合は、「いい物件が日本各地で100カ所見つかれば、100店舗すべてに出店することが可能」(粟田氏)。実際に07年以降、1年間に約100店舗のペースでの出店を続けることになる。

日本人になじみ深いうどんだが、なぜここまでの急成長が可能だったのか。外食産業に詳しい、いちよし経済研究所アナリストの鮫島誠一郎氏は、こう説明する。

「リーマンショックの煽りをもっとも受けたのは接待需要です。ミシュランで星をもらったのに店じまいということも珍しくない。一方で、個食に対応できたチェーンは伸びました。牛丼やセルフうどんはここに分類されます」

では、同じセルフうどん方式の「はなまるうどん」と「丸亀製麺」の伸びの違いはどこから生まれたのか。はなまるうどんは現在国内2位。創業は丸亀製麺よりも半年ほど後だ。直営店、フランチャイズ含めて、08年には250店舗を突破したが、丸亀製麺の脅威の出店スピードに、翌09年には王座を明け渡すことになった。鮫島氏は「製麺所の風情」だけが要因ではないと分析する。

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うどん3強、「安くて早い」コスパ対決!

「07年ごろは、中国製冷凍ぎょうざ事件のように食の安心を揺るがす事件が多く発生しました。見えないところで調理されることを、消費者は敬遠した。セントラルキッチン方式のはなまるうどんと、最初から最後まで目の前で調理している丸亀製麺では、安心感が違います」