ここで、「楽天的か、冷静か」「主体的か、受動的か」の2つを基軸にして図版にしたのが<表>です。それではこの4つの特徴を見てみましょう。
まずは「楽天的で主体的な人間」です。いわゆる即断即決ができる人。情熱を持って前進する。最もみんながこうなりたいと願う、強いリーダーの典型でしょう。多少のリスクには目を瞑って、大きな賭けに出る人です。イケイケどんどんで強烈な上昇志向を持っています。
大きな賭けに出る上昇志向の強い人
現代の経営者で言えば、さしずめ一代でソフトバンクグループを築き上げたソフトバンクグループ社長の孫正義氏でしょうか。在日韓国人として生まれながら、数々の逆境を乗り越え、不屈の楽観主義で日本一の大富豪になりました。その姿は、まさに誰もが憧れるリーダーそのものですよね。
ただし、このタイプはメンタルヘルス的に最も危険です。リターンも大きい半面、リスクも大きい。即断即決にも善し悪しがあり、孫さんのことではありませんが、自殺ですらすぐ実行してしまいかねない危うさがあります。
次は「楽天的で受動的なタイプ」です。指揮者がイメージしやすいでしょうか。個性的だけれど、全体のハーモニーを導く役割もできます。長嶋茂雄さんはこのタイプの典型です。チーム所属意識はとても強いが、独裁者にはならない。同時に「巨人は永久に不滅です」と言える楽天性を持っています。
経営者で言えば、京セラ名誉会長の稲盛和夫氏でしょうか。「世の中はきっと良くなる」という信念をベースに、大きな決断をしていきます。加えて、京セラ、KDDIなど自ら起こした事業を、惜しむことなく後進にポンとバトンタッチできる楽天性を持っています。多くの創業者が、後継者指名に苦しみますが、そのようなところにも稲盛さんの楽天的な資質がよく表れていると思います。
さらに京セラは、従業員同士の交流を深める「コンパ」と呼ばれる飲み会を推奨しています。お互いに率直に言い合える空間をつくろうとするのは、楽天的で受動的な稲盛さんならではのアイデアではないでしょうか。
孫さん、稲盛さんの楽天性は、物事のいい面がよく見通せる特徴があります。おもしろいことを探して夢を追っていく心なんです。それが、世の中を変えるのだという情熱的なカリスマ性につながっていきます。