来期の銀行収益は、基本的に今期比で横ばいを予想する。

メガバンクは、これまでの成長をけん引していた海外での貸し出しと、投信や保険販売などの手数料収益の伸びがいずれも減速する。ただ、前年比での増益は続くだろう。一方で与信費用は、融資先企業への貸倒引当金が不要となり利益に計上される「戻り益」が一巡、少額ながらコストに転じるとみられ、2つの要素が相殺されると考える。

地方銀行は、昨年の上期決算で時価総額上位17行のうち、実に11行が実質的に過去最高益を更新するなど、好調さを維持。ただ、安閑としてはいられない。金融と新たなIT技術が融合したフィンテックが話題になっている。今後、決済や融資、投資助言などでのフィンテックの機能が行きわたれば、地銀のビジネスモデルが問われることになる。特にリテール業務では、顧客がパソコンやスマホを通じて、全国どこにいても金融サービスを受けられるようになると、顧客が居住する地域の地銀と取引する理由が希薄化する。5年、10年先のビジネスモデルを考えるならば、今から合併・統合を進め、業務の効率化や新たなビジネスモデルを模索しなければならないだろう。ただ、好決算のなかで経営陣の危機意識が後退しているように思える。

フィンテックはメガバンクにとっても大きなチャレンジだ。今国会で銀行法が改正されれば、フィンテックのスタートアップ企業を子会社化できるようになる。実際の業務にどう影響するか未知数だが、世界に後れを取らないためにも、さまざまな対策を講じる必要があるだろう。

もう1つの大きなテーマは、メガバンクによる政策保有株の売却だろう。売却が進めば収益が増加し、資本の質が改善する。企業としても、より市場を向いた経営が求められる。

取引先企業をどう説得するか。今年が正念場だろう。

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(構成=衣谷 康)